その他(GHなど)

□その手が掴むもの
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自分には無縁なものだと思っていた。
永遠に感じるものではないと…

初めにこの感情を自覚したのは、兄が見つかったあの日。
彼女が
「笑顔がきれいで好きだった」と泣いたあの時。
胸に痛みと湧き上がるたぶん愛しいという感情を彼女に感じた時。


伝える気はなかった。
彼女が兄を見つめ続けると覚悟したのはわかっていた。
その覚悟を邪魔する気も惑わす気もなかった。
彼女を苦しめることはしたくなかった。

僕が辛くとも。
彼女が幸せならそれでいいと…


だが、彼女は今この腕の中にいる。
叶うはずがないと決め、プライドのために彼女のためと言い訳しておしこめた。
手を伸ばすこともしなかった。

彼女は立ち止ったままではいなかったのに…
彼女は兄への気持ちを認め、さらに先を見ていた。

彼女に告げられた時、自分らしくもなく夢かと思った。
現実だと脳に浸透した瞬間に無意識に彼女を抱きしめていた。
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