その他(GHなど)

□忘れないで
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ふと集中が切れた。顔を上げると誰もいない静かな自宅の書斎。時計を確認すると、午後11時。
酷くのどが渇いていることに気がつく。いつから飲んでないのか…それすらもわからない。

「………………。」

とにかく、何か飲むためにキッチンに向かおうと書斎の扉を開けると…

「……麻衣?」

扉の隣に麻衣が寄りかかって寝ていた。
ナルは驚き、そして呆れた様に溜息をつく。

「麻衣。起きろ。…寝るなら寝室に行け。」
「ん〜…」

唸るだけで起きる様子のない麻衣に深々とため息をつく。早々にあきらめ、抱き上げ運ぶ。そのまま寝室に。
麻衣をベットの上におろすと、ナルは淵に座り麻衣の頬をを一撫でする。
考えるのは何故麻衣があそこで寝てしまっていたのか。
常々健康、健康。騒ぐ麻衣があそこでわざわざ寝るなんてありえない。あそこに座り込んでいて寝てしまったと考える方が妥当だった。
眠る麻衣を撫でつつ考えていると、麻衣が寝言を言う。

「…ら……い…で」
「?」

よく聞き取れない言葉に耳を澄ます。

「…から……な…で」
「!!」

ナルは聞き取れた言葉に目を見開いて驚く。そして、ふとカレンダーを見て思い出した。それからどうして麻衣があんなところに座り込んでいたのかを知る。

「………馬鹿か。」

辛らつな言葉とは対照的にナルの顔には苦笑に近い柔らかい微笑みがのっていた。
そして身をかがめるとそっと麻衣の耳元に囁いた。

「Never forget over my life」

そして、優しく額に口づけを落とす。
麻衣が幸せそうに笑った気がした。





あなたのそばに私はいます。

(邪魔なんてしないから私がいることを忘れないで)
(一生忘れない)
                                        2012/11/18

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