リクエスト

□悪が正義を語って成り立つ世界
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シビュラで裁けない悪があるなんて思いもしなかった。
そんなことがあるなんて理解できなかった。でも、現実。
だったら…どうやって彼を裁けばいいのだろう…
そんなことを悩みながら眠りについた。





夢を見た。





「それにね……」


そう言って笑った少年のような青年は幼顔に似合うとても澄んだ琥珀色の瞳をしていた。



公安局の中を歩く。
足元がおぼつかない。寝不足だ。不思議な夢。それのせい。いつも同じでいつも一番大事なところで切れる夢。
気になって浅くしか眠れない。


「それに…なんなんだろう?」


呟いて若干視界がかすんだ。
ぶれぎみの視界に朱はため息をついた。
その途端、グラリと平衡感覚を失う。倒れる!!と咄嗟に手を伸ばした。掴める物もなく手は空を掻く。
ダメだ…そう思った。しかし、予想した衝撃は来なかった。


「?」
「…にやってるんだ。」
「こ、狡噛さん!?」


パチリと開いた目の先には珍しく焦った顔の狡噛。
咄嗟に伸ばした手を狡噛が掴んでいた。朱は茫然と狡噛を見る。
グイッと腕をひかれ、体勢を立て直す。顔が近付き、ドキリと心臓が跳ねる。


「あ、りがとう…ございます…」
「あぁ。…それよりあんた、大丈夫か?」
「あ、はい。大丈夫です。」


朱は半分呆けながら反射的に返事をする
。狡噛が眉を寄せた。


「あのな、常守…」


狡噛が何か言おうとしたその時。
けたたましい音で警報が鳴る。
ハッと二人は同時に息をのむと、駆けだした。


「行くぞ!!」
「はい!!」
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