ショート(復活)
□織姫の涙、そのわけは
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下界では七夕は仕事を怠けたせいで天帝の怒りにふれた織姫と彦星が離れ離れにされ、なんとか年に一度だけ会うことを許されたという奇跡の日として祝い事にされているらしい。
それを聞いたとき、綱吉は思わず鼻で笑ってしまった。
「そんなロマンチックな話のわけがないじゃん。」
「ツナ…」
荒んだ目をする綱吉に友人である凪はなにも言えずにその肩に手を置くだけだった。
その親友の気づかいに涙が誘われる。
いっそのこと泣けたらどんなに楽か…でも、綱吉にそれは許されなかった。
「おい、泣くんじゃねぇぞ。そんなことしたらおまえの旦那が何するかわかったもんじゃねぇからな。…にしても、あいつ等は毎年毎年…あきねぇな…」
リボーンが呆れたように言う。
その無責任な言葉に天帝の後ろという唯一の安全地帯にいる民たちと綱吉がガクリと頭を垂れた。
「そう思うんだったら止めてよ…」
「なんで俺がやらなきゃいけねぇんだ。止めたいなら勝手に止めろ。」
それも妻の仕事だぞ。
なんて語尾に星マークを入れられても困る。
そもそも…
「止められたら…俺だって止めてるよ…!!」
クッと涙をこらえて絞り出す。
その言葉に何人かが織姫様…!!と、涙ぐむ。
涙ぐまなかった面々も頷き、わかっていますと拳を握る。
その様子を見て、天帝は良い事だとニヒルに笑い、凪はツナ大変だねと苦笑した。
そんな風に約一部をぬかした天界人が頭を抱える原因とは、天帝が口に出したあいつ等。
綱吉の夫である雲雀と凪の夫である骸だったりする。
どうして問題なのか。
それは二人が現在進行形で行っている破壊活動のせいだった。
別に破壊したくていているわけではない。
二人が戦うと必然的に巻き込まれた建物が崩壊してしまうだけのことである。
だけというが、その巻き込まれる範囲が尋常じゃないため、
まさに人災。
天界人だから天災かもしれない。
とにかく、そういうことで大変な迷惑を被るものなのである。