リクエスト

□悪が正義を語って成り立つ世界
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「「「!!?」」」


そんな声とともに朱の前に誰かが降り立つ。
暗闇を煌々と照らす橙の光。浮かび上がる白いスーツ。
振り返った顔を見て朱が目を見開く。


「あ、なた…は……」


空からどこからともなく舞い降りたススキみたいな髪と琥珀色の瞳をもつ青年は優しげな微笑を浮かべる。


「こんばんは、公安局のひと。会うのは初めてじゃないね。」
「!!!?」


その言葉にさらに目を見開く。
青年はその反応に苦笑すると…再び前を向き、今度は身が竦むような微笑を浮かべた。
男たちがひるむ。


「まぁ、それは置いておいて?今は先に仕事を片付けなくっちゃいけないからね。…そうですよね?」
「そうだね。」
「!!!」


まるで暗闇からにじみ出るようにもう一人、青年が現れた。
その服から髪や瞳まで真っ黒で、肌ばかりが白く目立つ容姿は死に神のようだった。
そして男たちが銃を構えなおす暇もなく、次々と倒されていく。

ほんの数分…それほどの時間で立っているのは朱と青年二人の三人だけになってしまった。
男たちをのした青年が歩いてもう一人の傍らに立つ。


「つまらないな。」
「そう言わずに…これも仕事なんですから。……君は大丈夫?」


心配そうな声を掛けられて、あっという間の出来事に混乱していた朱はハッと息をのむ。


「あ、だ、大丈夫…」
「そう。よかった…」


再び微笑む。
朱はその笑顔に少しだけ安心したような顔をする。
すると、後ろについていた青年はむっとした顔をして小柄な青年をグイッと引き寄せる。


「う、わっ!?な、なにするんですか!?」
「君が悪い。」
「は!!?」


なにやらいい争いとも思えないような痴話喧嘩が始まった。
朱はついていけない展開に唖然とするのみ。


「なんですか!?」
「なんで君は誰かれ構わず誑しこむのさ。」
「そんなことありません!!そんなこと言ったら、あなただってこの間女の人達に囲まれていたじゃないですか!!」
「…あれこそ違うだろ。そもそもあれは君が言ったことだろ。」
「違います。俺は脅したりするなとは言いましたけど、ハーレム作れなんて言いませんでした。」
「……そんなの知らないよ。それよりハーレムって言うなら君だって同じじゃないか。男も女もはべらして!!」
「だから、そんなことないですって!!」
「いいや、あるね。」
「ないです!!」
「あるよ!!」
「な、い、で、す!!」
「あ、る!!」


ヒートアップしていく二人。
朱は口をはさむことができずにただ立ち尽くしていた。誑し込まれた…自分が。いつ?安心はしたけど……


そこに聞きなれた声が響く。
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