SweetS×Spice!!

□第1話。
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吉永 祥太に告白された日から
2日後、未だに私は悩んでいた。






―――何処にでもあるような
某ハンバーガーショップで
私は親友と二人で暇を
潰していた。





『………鈴、クマ酷くない?』


『私は断じて熊じゃない。』


『いやいやそーじゃなくて!
疲れてるのか知らんけど
めっちゃ目の下黒いで?』





私はあぁ、と声を漏らすと
ポケットから取り出した
携帯電話で自分の顔を見る。
確かにこれは酷い。




これは私“鈴村 侑紀”の
一生の内で、最初で最後の
途轍もない顔ではないか。




『道理で眠たいハズだな。』


『いやいつもの事やろっ。
てかええの?休んだ方が
ええと思うんやけど。』





私は携帯電話をポケットに
戻すと目を擦る。
そんな私を心配する少年、
窓辺 夏輝は幼馴染みであり
私の親友である。
天然故か、初めて会った時は
馴れ馴れしい奴だと思ったけど
本当は凄くイイ奴だった。





『なぁ夏輝ー…?』


『何や〜?』


『もしさ、今まで普通に
知り合いとして接してきてた
人に好きだって言われたら
どーする?』


『せやな〜……。』





夏輝はこういう時何も聞かずに
普段通りの会話をしてくれる。
もちろん私も夏輝には同じ様に
接している。
だから今までも、もちろん
これからも親友でいられるんだと
思う。





『俺は正直分からんかもしれん。
相手がどんなに可愛くても
性格悪かったりしたら
付き合いたいって思わんし。』


『じゃーさ、相手がスッゲェ
ちゃらんぽらんでヘラヘラ
してる奴だったら?』


『付き合わん!』





きっぱりと言い切られた。
まぁ普通そうだよな〜…。
私は飲みかけの温くなった
アイスコーヒーを口に含む。





『でも一緒にいて楽しかったら
付き合いたいって思うかも
しれんな。』


『結局どっちだよ。』


『気があったらって感じ。
でもなぁ、ちゃらんぽらんって
何となく母性本能湧かん?』


『お前男だろ。』


『せやけどさっ?
何か放っておいたらあかん!
ってなる事ない?』


『あぁ、ペット的な意味で。』





私がそう言うと夏輝は唸った。
どうやら違ったようだ。
しかしアレだ。
何となく分かってきた。





『後は料理出来たらヤバイな。』


『あ、料理出来る。』


『へ?』





あ、しまった。
吉永さんの事を考えていたら
勝手に吉永さんの事を言って
しまった。





『……そーだよね!
料理するって聞いたら
コイツ出来るってなるよな!』


『あー、そーゆー事ね!』





夏輝が天然で良かった。
私は気を取り直して
ハンバーガーの包みを開ける。





『でもアレやな〜。
鈴が告白されてめっちゃ
ドキドキしてんのとか
想像つかんな〜。』


『はッ!?ドキドキ位なるし!!』





私は持っていたハンバーガーを
トレイの上に叩き付けた。
ヤバい具が溢れちまった。





『………俺が今ドキドキ
してるわ。』


『あ、ごめん。』


『てかマジ大丈夫?
何かさっきからさ、自分の事
言ってるみたいとちゃう?
鈴がそんなにテンパるの
じゃないとおかしいんやけど。』





夏輝は大して疑うわけでは
ないのだが、私に対して
心配の眼差しを向けてくる。
こういう所、ガチで勘弁
してくれよ…。
口が勝手に話してしまいそうで
怖いんだけど。







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