千切ったものと契られたもの

□魔のお迎え
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妹が何故こういう事を言うのだろう、だけど今の私には納得できる。

あの社長と結婚してはいけない。
なんとしても逃げなければと。


妹と話せば話すほど、社長、修斗さんの顔がちらついてくる。

だめだ。

こうした姉妹との会話には、あの社長の事など思い出さないようにしようと決めたとき、

「……お父さんが残した……あの借金を肩代わりしてきた社長さん……知ってる?」

沙織からその名を出してきた。

「………」

私はしばらく黙っていた。その一方で沙織は続ける。

「…実は私社長さんに会った事があって……借金を返す為に社長さんの屋敷に雇われたの……」

「…」

そうだった。妹は社長に連れて行かれたんだった。
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