千切ったものと契られたもの

□揺れる感情
1ページ/9ページ





遠くに行っていたような感覚から目覚め、気付いた事はとてつもなく気だるいという事だった。

「……」

白いシーツには私一人で、誰もいない。暫く頭が働かなかったが、少しずつ、今までのことが思い出されてきた。

縛られていた腕は解放されていて、汗で湿っていた身体はどこか拭われていてさっぱり感があった。

だが足が棒のように動かない。疲れ切っていた。

手も動かない。何も動かない。下半身の違和感だけは残っている。

「………―」

もう、二度と思い出したくないのは社長の顔。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ