千切ったものと契られたもの
□揺れる感情
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遠くに行っていたような感覚から目覚め、気付いた事はとてつもなく気だるいという事だった。
「……」
白いシーツには私一人で、誰もいない。暫く頭が働かなかったが、少しずつ、今までのことが思い出されてきた。
縛られていた腕は解放されていて、汗で湿っていた身体はどこか拭われていてさっぱり感があった。
だが足が棒のように動かない。疲れ切っていた。
手も動かない。何も動かない。下半身の違和感だけは残っている。
「………―」
もう、二度と思い出したくないのは社長の顔。