千切ったものと契られたもの

□秘書の逃亡
1ページ/10ページ


「くふっ…………んっ………」

社長に組み敷かれて、声を出す体力もないほど、衰弱した私の様子でも、社長は私の身体を撫でまわす手を止めない。

「………んっ………んっ…」

「……」

ふと社長の顔を見上げると、こんな扱いを受けているのにも関わらず、相変わらず整った顔をしていると思ってしまう私は、もうほぼ諦めているのだろうか。

諦めて、この生き方をしていこうと考えているのだろうか。

誰か助けてほしい、本音ではあるが、それは叶わない希望。

社長の腕に絡まれて、このままずっと、社長の傍で生きて行くのだろうか。

そう考えると、じわっと、涙が出てきそうになる。







妹は、どうしているだろう―
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ