千切ったものと契られたもの
□秘書の逃亡
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「くふっ…………んっ………」
社長に組み敷かれて、声を出す体力もないほど、衰弱した私の様子でも、社長は私の身体を撫でまわす手を止めない。
「………んっ………んっ…」
「……」
ふと社長の顔を見上げると、こんな扱いを受けているのにも関わらず、相変わらず整った顔をしていると思ってしまう私は、もうほぼ諦めているのだろうか。
諦めて、この生き方をしていこうと考えているのだろうか。
誰か助けてほしい、本音ではあるが、それは叶わない希望。
社長の腕に絡まれて、このままずっと、社長の傍で生きて行くのだろうか。
そう考えると、じわっと、涙が出てきそうになる。
妹は、どうしているだろう―