千切ったものと契られたもの

□メイドの仕事
1ページ/9ページ




慣れない仕事。メイド。

何故私はこんな事をしているのだろう。

うっすらと涙が浮かんできては、それを拭う。だが、いくら涙を拭っても、心の哀しみは拭えない。

妹に会いたい―


「…おい」

っ!

バッと後ろを見れば、社長が不機嫌そうに立っていらっしゃって…。

―っしまった!

私は自分の過ちにすぐ気付いた。慌てて社長に頭を下げる。

「っすみません!お出迎えを忘れてしまいっ…」


空気が重い。社長をお出迎えするのをすっかり忘れてしまった私には耐えられない。

「…」

―グイっ。

「っ!」

社長は何も言わず、私の腕を引っ張っていった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ