千切ったものと契られたもの
□社長の目的
6ページ/10ページ
「佳山くん」
上司に呼びかけられ、振り返ると、上司の顔が少し険しい顔をしていた。
「すぐに社長室に行ってくれ」
私はドキッとなった。昨日の事を問われるだろう。
上司は、社長の呼び出しに私を心配してらっしゃって、少し申し訳なかった。
私はエレベーターのボタンを押した。
―スウ…。
コンコン
―…。
少し低めの声が、どうぞと言った。
「失礼、します」
私は頭を下げ、中に入った。
窓から日が当たり、暖かそうな場所に社長はいた。
社長は立ち、そしてソファーに腰掛け、私にもお座りくださいと言った。
「失礼します…」
向かいに座ると改めて社長の容姿に驚かされる。
噂どおりの整った顔。
綺麗な黒髪。
社長は切れ目を私に向け、そしてニコッと笑った。
「妹に会いたい?」