千切ったものと契られたもの
□社長の目的
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タクシーの中で調べた住所に目を通すと、もうそろそろかと思ったときに着いた。
降りて傘を差し、大きい近代的な家に臆しながらも、呼び鈴を鳴らす。
暫くして門が開いた。驚いた。
「(どうぞ)」
どこかしらカメラがあるのだろうと、思いながらおどおどとして中に入る。
その時私は気付いた。
名乗りもしなかったのに私の事を知っているんだろうかと、少しぞっとした。
長い庭を歩くと、目の前に黒いスーツを着た長身の男性が立っていた。
「ようこそお越しくださいました、佳山様」
私はグッとこぶしを握り締めた。