長編

□どっちらぶ
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占いなんて、全然信じてなかった。
だけど、今日ばかりは当たって欲しくなかったのに。



そんな出来事が、たった今起きていた。






私、苗字名前は近所の公立中学に通っていて福井健介、通称健ちゃんの幼馴染である。
昔から運動神経抜群の健ちゃんに比べて非常におっとりしていた私は、よく健ちゃんに面倒をみてもらっていた。


健ちゃんは、中学に入学すると、バスケ部に入った。
当然のことながら、それなりに強かったバスケ部は練習も多かった。
それでも、健ちゃんが大好きな私は練習のたびに見学に行った。




健ちゃん、私ね、
健ちゃんのこと大好きなんだよ


何回も伝えたのに、ハイハイってスルーされて、それでもいつかは通じるって思ってた。
最後に健ちゃんと並んで歩くのは、私だと思ってたのに。



「お、名前じゃん」


久しぶりに、駅で健ちゃんを見かけた。
これだけなら、私のテンションは急上昇してあわよくば一緒に帰れたらなぁって思うのだけど。

健ちゃんの横には綺麗な女の人がいた。


「あ、コイツ幼馴染の名前だ。まあ、妹みたいなモンだ」
「へぇ、可愛いね!」


健ちゃんは、隣の女の人に私を幼馴染で妹だと紹介した。
それだけでも、気分はしょんぼりしてしまったのに。


「健ちゃん、この人は…」
「あ、彼女。」
「えっと、健介くんとお付き合いしている美紗子っていいます。
バスケ部のマネージャーなんです」


美紗子さんは、私がほしかったものを全て手にいれていた。



私はなりたくても、バスケ部のマネージャーにはなれなかった。
歳が三つ離れている健ちゃんは、私が中学に入ると高校へいってしまったのだ。


私はなりたくても、健ちゃんの彼女にはなれなかった。
どんなに、好きだと伝えても本気だと受けとってもらえなかったのだ。



「あの、私、コンビニ寄って行くから」


コンビニなんて、ようもないのに二人から逃げるように背を向けた。




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