長編

□幼馴染がアレな件について
1ページ/18ページ




1.幼馴染が性悪な件について



いつもと同じ時間に目を覚まし、洗顔を済ませるとランニングの為に外へ出た。
30分ほど走ったあとには、汗を流し、朝食を摂り、学校にいく為の準備をし、いつものように家族に声をかけてから家を出た。


そして、向かいの家のチャイムを鳴らした。
俺には、登校前にやるべき日課があったからだ。


チャイムを鳴らして、返事を待つことなく俺は玄関の扉を開け家の中へ入る。


「幸男くんおはよう」
「おはようございます」


階段を上がる為に一度リビングへ行くと、お茶を淹れているおばさんがいたので挨拶をした。
おじさんは、いつものようにもう出ているようで姿はなかった。


階段を上がり、廊下のつきあたりの部屋の前で立ち止まり、ノックをする。
しかし、返事はない。
これがいつものことだった。


ドアを開け、布団に包まっているそいつに向かって声をかける。


「オイ、もう8時だぞ」
「……」


こう言っても返事が無いのもいつものことだった。


「いい加減起きろ!名前!!」
「ん……」


布団を力尽くで引き剥がし、声を荒げれば渋々起き上がるコイツ。
名前を苗字名前というのだが、俺の一つ歳下で所謂幼馴染というやつである。


小中高と同じ学校に通っていて、昔は毎日一緒に登校していた。
朝練が無い日にコイツを起こすのはその名残である。


「煩い。つーか、毎回部屋に入るなって言ってんでしょ……
さっさと出てって」
「お前がノックで目を覚ましてたらわざわざ入らねェよ。
だいたい高校生なのに、」
「あー!もうウザい!
着替えるからさっさと出てってこの変態!」


こうして、俺が一方的に文句を言われ、部屋を出て気分が下がったまま登校するのもいつものことであった。




.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ