長編

□時間編
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「なッ!あなた誰ですか!?」
私が驚いて声を出したのに、
彼は全く反応せず、名前ちゃんを見ていた。

「よォ、名前黄瀬に鞍替えかよ?」
「なんで、ここに…?」

名前ちゃんのほうを見ると、
とっても驚いた顔をしていた。


名前ちゃんは、
基本的に言いたいことはズバズバいうけども、顔には出さない。

こんな顔をした名前ちゃんを見るのは、私は初めてだった。


「ん〜?お前まだこんなもん食ってんのかよ?変わんねぇな」
「だからなんで、ここに…」
「さぁ、なんでだろうなァ
そんなに俺に会いたくなかったのかよ名前ちゃん?」
「ッ……」
「まぁ、お前が日本に帰ったこともわかったし?」

全然話についていけない。
この人は、誰なの?
名前ちゃんの知り合い?
名前ちゃんは、どうしてそんな顔してるの?


「また、連絡するわ。じゃあな」
「ちょっと!」

私が呼び止めたけど、
彼は気にせずいってしまった。

「名前ちゃん、今の人は」
「帰る……」
「名前ちゃん!?」
名前ちゃんは、
大好きなドリアに手を付けず
倍以上のお金を置いてファミレスを出て行ってしまった。

そのときの名前ちゃんの横顔が知らない人みたいで、
何かが崩れて行く様な、割れる様な

そんな音が心の中て大きな音を立てたけど、


私は、
何にも気づかない振りをして
冷たくなったオムライスをおいて
ファミレスを出た。

あんな顔、
本当初めてみた。
名前ちゃんも、あんな顔するんだ。

そう強く思わせるほど
あの顔は、酷く悲しげな顔だった。



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