シリーズ krk

□Purpurrot
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普段は開かずの間として、不思議な雰囲気を醸し出す文芸部の部室に似つかわしくない二人の男女の大きな声が響いた。


「はぁ?何が言いてェのかマジ意味わかんねェし!」
「だから、呪いだってば!何度言えばいいのさ!」
「本当に、ひねりつぶしたいわ〜
あんたマジで呪いとか信じてるわけ?」


その言葉を聞くと、珍しくも苗字の顔が歪む。
それを見た黄瀬と緑間がその場を仲裁したのだが、紫原は苛立ちを態度に表したまま荒々しく扉を開けて部室を出て行ってしまった。





ことの発端は、ある放課後の部活での出来事だった。


呪いが解けた二人は、この呪いは同一犯によるもので、キセキの世代を狙った呪いの可能性があるのではないかと疑っていた。


「見張る?キセキの世代をッスか?」
「俺たちの次に掛かる可能性があるのはアイツらかもしれないということだ。」
「でも、どうしてそんなことがわかるんスか?」
「馬鹿め、人事を尽くせと言っているのだよ」


黄瀬は、確証もないので緑間が言っていた見張るということをすぐに忘れた。
そういった緑間も、まさかこんなに早くチームメイトが呪われるとは思っていなかった。


しかし、そんな話の翌日、チームメイトの紫原に呪いが襲った。


気がついたのは、もちろん緑間の方だった。

紫原という人間は、バスケ自体に面白いという概念を持っていない。
しかし、面倒よりも敗けを嫌う紫原は色々と文句を言いつつも練習は人一倍熱心だった。

そんな彼が、本日はどこかボンヤリしていた。


「紫原、集中しろ」
「ミドチン……」

集中力が散漫していた紫原を数回に渡って注意した。その度に気の抜けた返事を返すのだが、突然しゃがみ込んだり、水道へと練習を抜けることが目立った。


気丈に振舞っているが、緑間はそのダルさと苦しみを知っていた。


「黄瀬、ちょっといいか。」
「緑間っち、いま練習中ッスよ?赤司っちに見つかったらペナルティーもんス」
「お前に言われたくないのだよ…
紫原が呪いに掛かっているかもしれないのだよ…」
「……苗字っちのとこに連れていったほうがいいッスね」


緑間の言葉を忘れたとはいえ、あれだけ変化があれば黄瀬も紫原を気に掛けていた。


だから、紫原を苗字のもとへ連れて行って解呪を頼んだのだが……

ここで話は冒頭へと戻る。




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