シリーズ krk

□Purpurrot
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「アンタ、最近黄瀬ちんが苗字っちって騒いでる奴でしょ」
「確かに苗字は私だね」
「ミドチンが最近勉強教えてた奴だ」
「ミドチンが緑間くんを指すのなら、その通りだよ」
「どうやってその二人と仲良くなったかとかは知んね〜けど、よくいるんだよね〜何かあればスグ近づこうとするヤツ」

苗字には、紫原が言うヤツと言うのが女を指すのだとすぐにわかった。
と同時に、彼にあった時に感じた疑問が解けた。

彼にあったとき、苗字は自分を見た瞬間に嫌気がさしたように見られたのに気がついた。
彼と会うのは、初めてのハズなのに。

それは、きっと紫原が苗字を女だと認識したから…もっといえば、最近黄瀬や緑間と親密にしていた女だからだと漸く彼女は気づいた。


そして、笑った。

「何が面白いわけ?」
「いやいやぁ、今のは聞かなかったことにしてあげるから、本題へ行こうか」


クスクスと笑う苗字に紫原は嫌悪感を隠さない。彼女が女だということも意識せず、その長い腕で胸ぐらを掴んだ。

「離しなよ」
「アンタのその態度、マジムカつく」


掴み上げられているが、苗字の表情は涼しいままでしかし紫原の手をガッチリと掴んでいた。


「アンタも、結局周りのヤツらと何にもかわんねーし」
「離しなよって」

苗字の言葉に紫原は耳を貸さない。気の済まない彼はそれでも続ける。

「涼しい顔しちゃって、図星つかれると案外肝がすわったワケ?」
「最後だ、離しなよ」


ぐっと、紫原の手を掴んでいる苗字の手に力が入る。
紫原もさらに頭に血が登りさらに強く胸ぐらを引く。苗字の足はもうほとんど宙に浮いていた。


「呪いとか、マジで気持ち悪いしそうやって媚んのも、もっとムカつく、反吐が出る」


紫原は、そう言い切ったあとで自分の手を掴んでいた苗字の手が緩むのが分かった。
泣かれると、相手は女だし面倒だとか、黄瀬や緑間が煩そうだとか思ったが、そんな思考は一瞬だった。


「ッ、ガ……グッ!」


正しく言うならば、そんな思考は一瞬しか回せなかった。


紫原が力を込めたことで浮いていた苗字の足が彼の腹部を容赦なく蹴り上げた。
さらに彼が拘束を緩めると、かなりの身長差があるにもかかわらず、彼の足を掛け押し倒し右手で彼の両手を固定し左手で彼の首へと巻いたリボンを握った。


「ウグッ!」

そして、その真っ黒なリボンが巻かれた首を容赦なく、締める。


「忠告はしたはずだよ。聞かない君が悪いよ、紫原くん」
「ハッ……グッ!?」

一瞬緩めて、また締める。
これを苗字は見下しながら平然とやってのける。
この女は、本当に人間なのかと、紫原は思った。ミスマッチは、かなりある。こんな軽い女、本気出せばスグ、そのはずなのに自分の両手首を拘束する手は、ビクともしない。


「私が見捨てたら、君は永遠とこんな苦しみを味わい続けるのさ」
「ッ……ハァッ……」
「可哀想に…」
「や、グッ!……めろッ!」


でもまぁもういっか、

その言葉に紫原は人生最大の恐怖を抱いた。


死ぬのだ。

殺されるのだ。




この、全く知らない、人間かも分からないこの女に。




しかし、彼女は両手を離した。

紫原は、恐る恐る閉じた目を開いた。




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