シリーズ krk

□Purpurrot
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それから三日間が経った。

しかし全く黄瀬と緑間の説得に応じない紫原であったが、彼の体調も限界に来ているのは本人も承知済みであった。



そして、いま教室で席に着いている苗字の前に紫原が立っていた。

苗字のクラスはざわめいていた。
それもそのはず。
普段は不思議な子として通っている苗字の前に、色々な意味で有名な一つ上の紫原が不機嫌全開で立ってるのだから。

苗字は、全身から色素が抜けてしまったかのように自身が白く、細い腕さらに彼女の弱々しさを助長させた。
そんな彼女の前に、先輩でもあり、体格が度を越すバスケ部の逸材がいるのだ。いつ彼女が潰されてしまうのか、皆気が気ではない。


「やぁ…そろそろ来ると思ってたよ」

ニンマリと、気味が悪いくらいに笑う彼女とは逆に、紫原は不服な表情をしながら低い声を出した。


「アンタ、俺に何したわけ?」
「何もしていないさ……私はね」
「……」
「その様子だと、もうかなり苦しめられたと見えるけどね…アレに」

苗字の言動に心底苛立っていた紫原だったが、このまま頭ごなしに怒鳴れば、結果は全開と変わらないことを彼もわかっていた。

「話がしたいなら、あそこへ行こう。あぁ、その前に、君はもう随分限界みたいだから特別にこれでも貸そう」


そう言った苗字は、自分の髪から、その酷く浮いている黒いリボンを外して黄瀬の時と同じく、紫原の首へと結んだ。


「かなりシンコウしているから、すぐに効き目も出るよ」

苗字は、自分を睨んでいる紫原の手を掴んでアノ場所へと向った。

クラスに残された生徒は、その姿を唖然と見ていた。




部室へつくころには、苗字は紫原の腕を離していた。
そして、またいつものように足を組み、机に腰を掛けた。


「座りなよ」
「アンタ、なにがしたいわけ?」


紫原は、苗字が勧めた椅子には座らずに扉のすぐ前で立っていた。

そんな彼が、呪いではない何かについて聴いているのがわかった苗字はさらに情報を得るため眉を上げながら、何をと返した。




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