krk短編

□大きな変化
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「きーちゃんちょっと来て!」
「ちょ、桃っち?」

腕を掴む桃っちに連れられ、店の外へと連れて行かれる。


「なんスか、急に」
「名前ちゃん、駅で絡まれてるみたいなの……」
「え、」
「ホント!きーちゃんなんとか……
って、きーちゃん!?」


俺の頭にはモサコしか浮かばなくて急いで駅へ走った。


「東口のトイレのまえだって〜」


桃っちが大きな声で知らせてくれた。
きっとモサコの居場所だ。
モサコに会ったら、飲み会に遅れたことに文句を付けてやろうなんて考えた。






東口の近くに行くと、チャラチャラしたヤツらが溜まっているのが見えた。
きっとモサコもあの輪の中だ。
モサコは、小さかったからここからでは姿が見れなかった。



「ちょっといいッスか」

男たちの後ろにいき、声をかける。

「んだぁ?」


男の一人が振り向いた隙に輪の中心へ行き、モサコの姿を捉えた。

「もさ、……」
「き、黄瀬!」



え、可愛い……
モサコが物凄く可愛くなってる
いや、もさっとしているからモサコな訳でこのモサコはモサコとは呼んではいけないけどモサコで……


「おい、俺らが先にこの子に声かけたんだよねぇ〜
あとから来たヤツは黙ってろって」
「黄瀬ッ!」


混乱しているところに、男の一人が拳を振り上げて来た。けれど、こんな一般人のノロいパンチはよく見える。
なので、ちゃんとよけてモサコ……名前ちゃんの肩に手を回した。


「この子、俺の彼女なんスよ〜
だから、あとから来たザコは黙ってろって」


男のセリフをそのまま返すと男は暴言をは来ながらも全員で帰っていった。


「いい加減離してよ」
「あ、」


助けたというのに肩に置いた手を払割れてしまった。
中学時代なら、ここで喧嘩にでもなったんだろうけど……


「黄瀬?ケガでもしたの?」


心配そうに俺を見上げる名前ちゃんにもう限界がきた。


「あの、名前ちゃん!」
「はい?ってかあんたモサコって呼んでなかったっけ?」
「付き合ってほしいッス!」
「……あの、飲み会があるので」
「ちょ、ちょっとッ!」


いきなり他人行儀になりこの場を去ろうとする名前ちゃんを必死に止める。


「ホントに変だよ、てか気持ち悪い」
「心配してくれてるんスか?そういえばいつもなんだかんだで俺のことを……って待って!」



この日から、俺はモサコ……名前ちゃんにアプローチを始めるのだった。




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