krk短編

□大きな変化
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つくづく運が悪い。
今日という日ほど、このワードが当てはまる日はない。


今日はみんなとの飲み会だから仕事もささっと……なんて思っていたらコピー機が動かなくて手間取ってしまった。
しかも、慌てて駅に行ったのに電車が遅れていて飲み会が始まってしまった。

しかし、悲劇はこれだけじゃ終わらなかったのだ。


「はぁ……」
「ねぇ、今一人?」
「俺らとカラオケどう?」


やっとの事で電車を降りて駅を出たと思ったら、ちょっとどころかかなりやばいヤツらに囲まれた。


「あ、いや、今から用事が……」
「はぁ?俺らが誘ってんのに用事?」
「あ、あの!お手洗い行かせて!」


ヤツらの気迫にやられて、完全にビビってしまったチキンな私にキッパリ断れるはずもなく、不幸中の幸いというのか、真後ろにトイレがあったので全力ダッシュした。

流石に女子トイレには入れまい。


しかし、トイレの前にヤツらはスタンバッている。
やばい。完全に囲まれてしまった。

「そうだ、電話」


急いでケータイを取り出し、さつきに連絡をとる。


「もしもし、名前ちゃん?
電車ついた?」
「もう、電車どころじゃないの!なんかヤバそうな人たちに囲まれてて……」
「ウソ!大丈夫なの!?」
「今は東口のトイレに籠ってる……」
「…任せて!私がなんとかするから。それまで頑張って!」


プツンとケータイは通話機能を止めた。
え、頑張ってってなに?
どうすればいいの……


「おい、ねぇちゃん……
早く出てこないとぉ〜俺ら迎えに行っちゃうよ〜?」


ヤツらの声が聴こえる。
マジか!なんだお前ら、女子トイレに入ってくんのか!


また、運悪くこのトイレには私しかいないようだ。ヤツらは本当に入ってくるかもしれない。そうしたら、逃げ場はない。


私は恐る恐るトイレの外へと足を向けた




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