長編
□積み木
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涼しいマジバに着いた。
彼女は、セットを奢らせてほしいと言っていたが俺の不注意もあるので、そこは譲らずにポテトだけを奢ってもらい、窓側の席に着いた。
「あの、上着も良ければ洗ってお返しますよ?」
「いや、そこまでしなくていいって」
「あ……迷惑ですか?
よく、お節介って言われるので……すみません」
「あ、や、そういう意味じゃなくて、えっと、」
それなら、洗って返します!
と、意気込んでいる彼女を止められず、上着は、洗ってもらうコトになった。
ふと、彼女がジャージに目を向けた。
「桐皇学園なんですね、ここから近いですよね?」
「あ?まぁ、10分ぐらいだけど」
「それなら、部活がある日の朝に届けますね」
「悪いな…」
「あ、私、苗字名前っていいます!霧崎第一の2年です」
「俺は、若松孝輔。タメなんだな」
すると、
苗字は、笑顔で手を合わせた。
「同い年なんですか!
背も高いし、カッコ良かったので3年生かと思ってました!」
こいつは今なんと言った?
自分の顔が赤くなるのが分かった。
苗字は、純粋に言っただけでなんの他意もないんだろうけど、
普通はカッコいいとか、口にしないだろ
しばらくしてから本人も、気づいたようで顔を赤くしていて、目があった時の照れ笑いが、
か、可愛いと、か、思ったりした。
互いの話をしながら食べ終えて、
アドレスを交換した。
お互いに学校があるので、
上着は、次の休みの日に届けてもらうことにした。
外に出て、
送っていく、と言ったが断られてしまった。
「ポテト、サンキューな」
「私も、お話できて楽しかったです!」
「気をつけて帰れよ」
「はい!孝輔君も!」
名前で呼ばれるのは、すごく久しぶりだった。
特に何とも感じなかったのに、
彼女に呼ばれた名前が特別に感じたのはアレか
「会って初日に惚れるとか、バカかよ」
別れた後も、
苗字のコトばかり考えていた。
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