お花売りの少年
□ごめんなさい
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そう叫んだ誰かは勢い良く扉をあけると共に布団をひっぺがした。
『?!』
「あんたは…!俺に提案があるなんて言うからなんだと思えば…!!こんな小さい子供になんてことしてんだぁぁあああ!!」
「ま、待てジャーファル君!王様死んじゃうから!眷属器使われると死んじゃうからああああああああ!!」
目の前で繰り広げられるそれにキオラは更に困惑する。
部屋に明かりが灯り、やっと相手の顔が見れた。
それは昼間見た男たちで。
『……』
「おっと、逃げないでくれないかな?」
この騒ぎに便乗して窓からの逃走を図ろうとするがそれはシンドバッドによって阻まれた。
『は、話せよハゲ!!』
「禿げてないぞ!!」
おまけに手首を捕まれ完全に捕獲された。
その力は強く安安と逃げれたもんじゃない。
「さぁ、お嬢さんはどうしてここに忍び込んできたのかな?」
『…(お嬢さんはねぇし…)』
場所は変わり今はフカフカのソファーの上に腰掛けていた。
内心そのふかふかさに驚き今すぐにでも飛び跳ねてしまいたいがそんなことはできない。
「じゃあ質問を変えようか。
なぜこれを盗った?」
『っ!』
さっきのふざけた空気とは打って変わり真剣味を帯びた瞳でキオラを見つめるシンドバッド。
その瞳は細められ返答次第では自分の命がないかもしれない。
そう思うと途端に不安になり、キオラは焦り始めた。
(ど、どうしようどうしよう)
(きっとあの装飾はアイツにとってめちゃくちゃ大切なものだったんだ…)
(僕殺されちゃうかも…!)
酷く混乱し始めて思考がネガティブな方ばかりに行く。
怯える様子のキオラは寸分の嘘も見逃さぬようマスルールにジャーファル。そしてシンドバッドの視線が突き刺さっていた。
『え…と…』
ファナリスと言っても普通の子供であるキオラは今すぐにでも倒れてしまいそうだがそこは常人とかけ離れているおかげか、倒れるという心配はなかった。
「…もう一度聞こうか。金属器を盗った理由は?」
(き、きんぞくきって何だよぉ…)
シンドバッド達は国民達がああいっていたからといってこの子供が自分たちを殺しに来た者じゃないとは信じきれなかった。
だからこそ、あの女子供に弱いシンドバッドが心を痛め尋問をしているのだ。
『っ…』
やがて沈黙に耐えかねたのか、キオラの肩が震え瞳に水の膜が貼った。
。