お花売りの少年
□騙すのは得意です
2ページ/4ページ
『あの…』
小さな高い声に、二人も動きを止めて声の方へと向いた。
そこにはフードを深くかぶり、手には花が入っているかごを持った子供がいた。
『お花を、買ってくれませんか?』
おどおどとそう言う子供に、シンドバッドは顔をほころばせた。
「買わせてもらおうかな。いくらだい?お嬢さん」
「ちょ、シン!」
デレデレとした様子にジャーファルが非難の声を上げるが、子供は嬉しそうに声を弾ませた。
『ホントですか?!ありがとうございます…!』
女子供に弱いシンドバッドのことだ。
何を言っても聞かないだろうと、諦めのため息を吐いた。
後ろでシンドバッド達がやり取りをしている間、マスルールに愚痴を言っているとシンドバッドが振り向いた。
その両手には小さな花束。
「たく…今回だけですからね」
「ああ、わかっているさ。」
「なんだかんだいってジャーファルさんも甘いっすよね」
ワイワイと話している時に、ふと違和感が駆け巡る。
「あれ―?シン、何か違和感がするんですが…」
「そうか?」
いや、そりゃあ両手に花束を持ってちゃ違和感バリバリだろうけど。
二人が首を傾げていると、マスルールが「あ、」と声を上げた。
「?どうしたマスルール」
「シンさん―
金属器は?」
「「…ああああああああ!!」」