お花売りの少年

□狸寝入りでしたか
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いつも通りブラブラと歩き回っていた。


あの日以来森にもよく行くようになってマスルールとも親しくなった。

シャルルカンとも話すようになったし、暇ではなくなった。



だが






『いつになったら遊んでくれんだよぉ…』




シンドバッドとは、まだ遊んだことはないのだ。




若干ふてくされながら王宮を歩いていると後ろから声をかけられた。



「あ、キオラじゃないですか」

『…!ジャーファル!!』


書類を両手に抱えて、いつもよりご機嫌なジャーファルがそこにはいた。

一瞬匂いがなかったから気づかなかったが微かに薫インクの匂いで分かった。



『わ。すっげぇ量。僕も手伝おうかぁ?』

「いえ、大丈夫ですよ。それより、私キオラを探していたんです。」

『僕を?』












キオラは走っていた。
そりゃぁもう女官たちの官服がめくれるぐらいの速さで。




(やった)

(やっと遊んでもらえる!)




どうやら、シンドバッドが今まで溜めに溜めていた書類を片付けたらしい。
それにいつもなら途中で逃げ出すのに、今回はそんなことはせずに狂った様にペンを握っていたんだとか。





執務室が見え、扉の前で一回止まってから深呼吸をする。





『おーさま!!!』





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