□朝方の下心
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「スー…」

「…。」

「スー…」

「どないしよ…。」




ん?何にどないしよ言うてるんて?



そんなん決まってるやん…お客さんカウンターに突っぷせて寝こけてるからやっっっ!!




八田ちゃんたちのせいで客の入りの悪いこのバーに、最近出来たお得意さんの苗字さん。


気さくな人で、すっごくえぇ人。八田ちゃん達が迷惑かけても笑っててくれるし、会話がユニークでむちゃくちゃおもろい。


仕事ノイローゼ見たいになっとって、ここに来ると落ち着くって言ってくれるもんやさかい、毎日でも来て欲しい位や。




…で。




何でこうなってんのかと言うと、八田ちゃん達が仕事で滅入ってる苗字さんにハイペースで酒飲ませて、


スッキリするようなん持ってこよ思たら、皆して寝こけてたっちゅー話や。





「何っでやっねん…っっ!!」




あんだけ飲まされた苗字さんは分かる。やのに、未成年で酒も飲まれへん八田ちゃんが何で寝こけてんねん…っっ!!




散々構ってもろて疲れたら寝るって…





「小学生か己はっっ!」




あかん…あかんわ。皆寝てるのええことに、叫んでしもた。




とりあえず苗字さんや。二階のベッドに空きあったし、起きるまで寝かしとこ…




「やましない。断じてやましないからな、俺は…」




誰が聞くわけでも無い独り言を虚しく呟いて、うつ伏せになっている彼女を起こさないよう注意して抱き起こす。




「うわ…めっちゃえぇ匂いする…」





横抱きにして自分の胸に寄りかかった頭から、香水何かじゃないシャンプーの匂い。


やんわりと香る匂いは、香水嫌いな自分にも心地よい位で。





「あかんあかん、何に言ってるそばから変態染みたこと言うてんねん…。」




口ではそうは言うけど。




体重軽過ぎだとか、肩細過ぎだとか、肌白いのに酒でほっぺピンクやなとか、まつ毛長いなとか、薄っすら合いた唇美味しそうやなとかーーー…


次々に理性に反して色んなものが、シャンプーを引き金としどんどん出てくる。





あかん、今日の自分は自分じゃない見たいや…まるで酒も飲んでへんのに酔うたみたい。





「よいしょ…。」





ベッドにゆっくり降ろして、布団を掛けてやる。


何もしてへん、何もしてへんで俺…っっ!





はだけた服直してるんも善意や。頬の上を自分の手が撫でるんも、酒の抜けを気にしとるんや。その指が顎を持ち上げ唇をなぞるのもー…





「…はぁ。」





息を止めて遠慮がちに唇を重ねる。リップノイズなんてさせたら後にも引けないような気がして。コレが最後の…最後の自戒。


彼女のいるこの部屋にいると全部持っていかれそうで、急いで部屋を出る。






「なんや…自分、思いのほか苗字さんにほだされてるやん…。」





未だに熱を持つ唇を指でなぞり、火照る顔を冷まそうと手を団扇の様にして仰ぐ。


今日の事は内緒。誰にも。




そんで、彼女が俺の事気にしてくれて来たら言うたんねん。






“好きや”て。





ずるいと思う?でもな…





こん位が丁度えぇんや。




朝方の下心



(やーたーちゃーん?昨日はようやらかしてくれたなぁー?)(う、うわ、草薙さ…あれはですね。ちょっっ!?)(問答無用やっ!苗字さんの介抱してき!)(え?なんでですk(つべこべ言わずに行きぃっ!)(はいぃぃっ!)


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リクエストの出雲さんです。

あるぇ?タバコどこ行った?ってか、ヒロイン喋らんとかナンセンスやわ自分…\(^p^)/おぅふ


八田ちゃんも最後だけやし…
とにかくっ!出雲さんも余裕無かったらいいよっ!いいよっ!


ちなみに京都住まいなんで、京都弁は心得てるつもりなんですが、おかしいとこあったら言うて下さいな(^ω^)

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