k
□朝方の下心
1ページ/1ページ
「スー…」
「…。」
「スー…」
「どないしよ…。」
ん?何にどないしよ言うてるんて?
そんなん決まってるやん…お客さんカウンターに突っぷせて寝こけてるからやっっっ!!
八田ちゃんたちのせいで客の入りの悪いこのバーに、最近出来たお得意さんの苗字さん。
気さくな人で、すっごくえぇ人。八田ちゃん達が迷惑かけても笑っててくれるし、会話がユニークでむちゃくちゃおもろい。
仕事ノイローゼ見たいになっとって、ここに来ると落ち着くって言ってくれるもんやさかい、毎日でも来て欲しい位や。
…で。
何でこうなってんのかと言うと、八田ちゃん達が仕事で滅入ってる苗字さんにハイペースで酒飲ませて、
スッキリするようなん持ってこよ思たら、皆して寝こけてたっちゅー話や。
「何っでやっねん…っっ!!」
あんだけ飲まされた苗字さんは分かる。やのに、未成年で酒も飲まれへん八田ちゃんが何で寝こけてんねん…っっ!!
散々構ってもろて疲れたら寝るって…
「小学生か己はっっ!」
あかん…あかんわ。皆寝てるのええことに、叫んでしもた。
とりあえず苗字さんや。二階のベッドに空きあったし、起きるまで寝かしとこ…
「やましない。断じてやましないからな、俺は…」
誰が聞くわけでも無い独り言を虚しく呟いて、うつ伏せになっている彼女を起こさないよう注意して抱き起こす。
「うわ…めっちゃえぇ匂いする…」
横抱きにして自分の胸に寄りかかった頭から、香水何かじゃないシャンプーの匂い。
やんわりと香る匂いは、香水嫌いな自分にも心地よい位で。
「あかんあかん、何に言ってるそばから変態染みたこと言うてんねん…。」
口ではそうは言うけど。
体重軽過ぎだとか、肩細過ぎだとか、肌白いのに酒でほっぺピンクやなとか、まつ毛長いなとか、薄っすら合いた唇美味しそうやなとかーーー…
次々に理性に反して色んなものが、シャンプーを引き金としどんどん出てくる。
あかん、今日の自分は自分じゃない見たいや…まるで酒も飲んでへんのに酔うたみたい。
「よいしょ…。」
ベッドにゆっくり降ろして、布団を掛けてやる。
何もしてへん、何もしてへんで俺…っっ!
はだけた服直してるんも善意や。頬の上を自分の手が撫でるんも、酒の抜けを気にしとるんや。その指が顎を持ち上げ唇をなぞるのもー…
「…はぁ。」
息を止めて遠慮がちに唇を重ねる。リップノイズなんてさせたら後にも引けないような気がして。コレが最後の…最後の自戒。
彼女のいるこの部屋にいると全部持っていかれそうで、急いで部屋を出る。
「なんや…自分、思いのほか苗字さんにほだされてるやん…。」
未だに熱を持つ唇を指でなぞり、火照る顔を冷まそうと手を団扇の様にして仰ぐ。
今日の事は内緒。誰にも。
そんで、彼女が俺の事気にしてくれて来たら言うたんねん。
“好きや”て。
ずるいと思う?でもな…
こん位が丁度えぇんや。
朝方の下心
(やーたーちゃーん?昨日はようやらかしてくれたなぁー?)(う、うわ、草薙さ…あれはですね。ちょっっ!?)(問答無用やっ!苗字さんの介抱してき!)(え?なんでですk(つべこべ言わずに行きぃっ!)(はいぃぃっ!)
ーーーーーーーーーー
リクエストの出雲さんです。
あるぇ?タバコどこ行った?ってか、ヒロイン喋らんとかナンセンスやわ自分…\(^p^)/おぅふ
八田ちゃんも最後だけやし…
とにかくっ!出雲さんも余裕無かったらいいよっ!いいよっ!
ちなみに京都住まいなんで、京都弁は心得てるつもりなんですが、おかしいとこあったら言うて下さいな(^ω^)