□背中の体温
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「かまって。」

「…」

「苗字情報班員、指令です。構いなさい。」

「…何ですかもう。今は残業で忙しいんです。」

背中にずっしりと巨大な“猿”を携えた私。


重い煩い邪魔…



今の現状はこの一言に尽きる。


これならよっぽど普通の猿のほうがいい。相槌を求めないし、それに命令もしない。


あぁ、この猿はなんて面倒なんだ…あぁ、一緒にしたら猿が可哀想か。


「なにブツブツ言ってんだ。聞こえてるし。筒抜けだぞ。あー傷ついた。」

「あら、漏れてました?でもこれが私の本音です。仕事の邪魔なのでのいて下さい、伏見情報班班長。」

「連れないなー。」



そう言う割に一行にのこうとしない伏見猿比古。この人は一体何がしたいんだ。

お陰でちっともキーボードがまともに打てないんですけど。



「あ、ここ間違ってる。」

「え?嘘、何処ですか?」

「ここ。漢字似てるけど違う。」

「あ、本当。ありがとうございま…って!見てるんなら自分の仕事減らしたらいいじゃ無いですかっ!!」



暫く黙ってるなと思ったらこれ。はいはいなんて二度返事しながらやっと背の荷が降りた。


ぐぬぬ、と一度背伸びをして、最後の作業に取り掛かる。

あと少しで残業も晴れて終わりだ。新人の尻拭いも大分手がかかる。


まぁ…毎度の事で慣れたけど。


「えっくしっ」


急に肌寒くなってクシャミが出る。

急な温度差と言えばあの猿は体温高いな、なんて思い出してしまい、首を降りながら雑念を振り払った。


「名前…」

「!?」


ふと、さっきまでの懐かしい匂いと共に、下の名前が呼ばれた。



「ほら、これ。体冷やすなよ。」


そう言って自分に手渡したのは暖かい抹茶オレ。

ここのメーカーの抹茶オレは格段に美味しい。

自動販売機の8割が苦手なコーヒーを占める中唯一、一階の自動販売機に見つけた昔から好きな私のお気に入りである。


そんな事を知ってる彼はー…


「ありがとう…。猿比古。」

「名前は昔から子供舌だよね。お人よしだから、部下がヘマしたら放っておけずに残業するのも。みーんな知ってる。」

「……子供舌はほっといてよ。」



そう。腐れ縁。 


今でこそ職場関係にあるものの、昔は名前を呼び合う位には親しかったのだ。

まぁ、だからと言って、別に浮ついた関係では無いのだけれど。


「…それで伏見情報班班長は私にねぎらいをと?」

「名前呼び…まぁいいや。うーん、まぁそう言う事にしとく。」

「なにそれ。」



意味が分からないままにまた、構ってちゃんな猿は背中の上。


「重いです。」

「でも暖っかくてホッとするでしょ?」

「…重いです…とても。」


見透かすなー…


なんて思うけど、素直に肯定なんてしてやらない。めいいっぱい回された腕にしがみ付きながら、小さく呟いた。


背中の体温


(ふぁ…)(終わった…?)(はい…ってか、伏見情報班班長、寝てましね?)(…寝てない。)(嘘。寝起きに鼻スンスンする癖、知ってますよ。)(な…っ!)

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誰だこいつ。口調分からへんわ。

情報班班長ってのも、小説の抜き出しやから正しいんか分からへん…orz

もし間違いありましたら日記にてお声かけ下さいな。

書き直します( ・∀・)ノシ


byゐなば

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