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□もう少しだけ
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僕の名は斉木楠雄
超能力者である
我ながらアバウトな表現だと思うが、一般的に世間で超能力と呼ばれている能力は大概使えるので、大目に見てもらいたい。
さて、そんな僕だ。テレパシーによって、人の心の声だって聞くことができる…というか、テレパシーは自動的に作動していて、僕にはいつだって人の心の声が聞こえている。だだもれだ。え?プライバシーの侵害だって?
仕方がないだろう?聞こえてしまうんだ。僕だって、出来るだけ聞きたくなどない。人の心の声なんて、聞いていて心弾むことなどないからな。
ああ、違うな。そんなことはどうでもいいんだ。今、僕は悩んでいる。すごく深刻な悩みだ。それというのも…
"斉木くにおのやつ…この私が見つめてやってるんだから、少しくらい気づきなさいよ…!!"
この理不尽な心の声の主は、照橋心美。自他共に認めるこの高校のアイドル的存在だ。
ちなみに今は授業中で、彼女は僕の2つ後ろの席である。どうやって気づけというのか、甚だ疑問だ。
僕はひょんなことから勘違いされ、彼女から想いを寄せられるようになってしまった。
学校のアイドルに想いを寄せられるなど、超能力を隠して地味に生きていきたい僕にとっては邪魔な事象でしかない。
しかも彼女は本当に僕のことが好きなわけではないのだ。
先程も言ったが、単なる勘違いによる一時的な気の迷いに過ぎない。
しかししばらく経てば落ち着くだろうと思っていた彼女の勘違いは、未だ解消されていない。
どうにかその勘違いに気づいてもらえるよう対策が必要らしい。
よし、参考までに彼女の心の声に集中するか…