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□ずっと前から
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「みのり先生、綺麗だったねー!二人とも幸せそうで、良い結婚式だったよね!!」
ハデス先生とみのり先生の結婚式の後。
家の位置的な都合上、俺と鏑木さんは二人きりで一緒に帰宅していた。辺りはもう暗く、彼女の顔に電灯の明かりが濃い影を作っている。だから彼女の笑顔が本物かそうじゃないか、よくわからない。
「…そうだね。ハデス先生も、病魔食べてないのに髪殆ど黒くなってたくらいだし」
分かりやすく彼女の表情が抜け落ちた。
傷付くくらいなら、話題に出さなきゃいいのに。目を逸らして盛大に溜め息を吐いたら、俺より少し下にある彼女の細い肩が小さく震えた。
「…本好くん…なんか怒ってる…?」

おずおずと彼女は俺を見上げ問う。

中学校を卒業して早5年。

髪形と面差しは変わらないけれど、彼女は充分に魅力的な女性に成長していたし、俺だって立派とまではいかないまでも、多大な努力により平均的な成人男性くらいの体力は手に入れた。
俺たちは変わっているんだ。

「…そうだね、怒ってるかも」

少し考えた後そう言うと、鏑木さんは目に見えて慌てた。「あたしなにしちゃったの…!?」なんておろおろする様は微笑ましい。

「だって全然気づいてくれないし」
途端にきょとりとする彼女。俺は続けた。
「ね、鏑木さん。鏑木さんはどうして俺が髪短くしたんだと思う?」
「え…?暑かったから、とか?」
「なにそれ」
「あ、違う?」
「全く」
呆れたように言うと、彼女は考え込んでしまった。俺は小さく笑ってから、答えを言う。
「ハデス先生と、同じくらいの長さだったからだよ」
「え…」
彼女の瞳が揺れた。構わずに続ける。
「ちゃんと、俺を見て欲しかったんだ。鏑木さんに」
意外にさらりと口にできたその言葉は、彼女に大ダメージを与えたらしい。それもそうだ、と思った。
仲間内で集まる度に、彼女の視線を感じた。
でも、それは俺を見ていたわけじゃなくて。

その場にいない、彼を。俺に重ねて見ていただけなんだ。

黒を、似ても似つかない白だと思えるくらい、彼女は彼を好きなんだ。

「ハデス先生みたいだなぁって思ってたこと、バレてたんだ…恥ずかしいなあ」

無理に笑顔を張り付けて、彼女は言った。俺はまた、盛大に溜め息を吐く。

「鏑木さん。俺が言いたかったこと、半分も伝わってないみたいだね」

「?」

不思議そうな顔で俺を見上げてくる鏑木さん。
俺は微笑むと、告げた。
「俺ね、ずっと前から鏑木さんのこと好きだったんだ。だから、鏑木さんにちゃんと俺を見て欲しかったんだよ」

目を真ん丸にして驚く鏑木さんの頭の中は、きっと俺で一杯に違いない。ハデス先生のことなんて1_も無いはずだ。
俺はそっとほくそ笑んだ。

「あっえと、冗談、とか?」「俺冗談は嫌いなんだよね」「あーと、うーん…っと…と、友達からと「俺ら既に友達だから、返事は次に会ったときね」
「えぇっっ!?」
「あ、鏑木さん家ってここだよね?ばいばい」
「え!?ちょっ待っ本好くんっ!!」
「今度からは"暦"って呼んでね!真哉ちゃん!!」
真っ赤な顔で俺を引き留めようとする彼女を、俺は笑顔と下の名前で黙らせた。
彼女は顔を茹で蛸みたいにしたまま家の前でへたり込む。

うん。作戦は成功。イニシアチブも渡さない。


「頑張ろう」

さて、取り敢えず明日午前中から会いに行って、返事を迫ろう。

彼女のリアクションを想像するだけで、口元が綻んだ。




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ラストの急展開すみません(^q^)

そして攻め攻め暦ちゃんww

二人ともまじでだれおま


読んでくださってありがとうございました(^-^ゞ
 

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