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□そんなまさか
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急いで奥へ駆けていくと、そこにはー
ソファですやすやと眠っているハデス先生がいた。
よ、よかった…
ほっと胸を撫で下ろしつつ、近くのテーブルに弁当を置く。
さて、私はどうするべきなのだろうか。
お礼を申し上げたい相手は熟睡してしまっている。持ってきた品は日持ちするとは言え生物であるし、出来れば今日渡したかった。
しかし、起きるまでここで待つのも憚られた。他人に寝顔を見られていたというのは、気持ちの良いものではあるまい。
「さて…」
何が最善か考えていると、ふとソファに収まりきらなかったハデス先生の足が目についた。
先生は、足が長く…いや、スタイルが良くていらっしゃるなあ…
先程、寝顔を他人に見られていたというのはーなどと考えていたことを忘れ、私は先生の寝姿を見つめた。
私は、日本の一般的な成人男性と比較すると、身丈は高い方だ。
が、ハデス先生は、そんな私よりも大きく、手足も長い。
先日の事故(?)で怪我を負われた際に手当てをさせていただいたのだが、全身にはりつくようなしなやかな筋肉のついた痩身だった。
よくわからないが、たまに弟が読んでいるファッション雑誌の男性モデルよりも素晴らしいプロポーションのような気がする。
弟によると、彼は生徒に大変な不人気らしい。
私にはそれが不思議で堪らなかった。