ZAGARDIA TALE

□序章
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『由莉、済まないが私も美鈴もどうやら帰れそうにない。
明日のパーティーには大切なお客様が沢山みえる。
くれぐれも粗相のないようにな。』

「はい、お父さん。水島議員と国枝社長には次の企画のこと、それとなくお願いしておきますね」

『ああ。よろしく頼む。ではな。』

「わかりました。それでは失礼致します。」

由莉が電話を置くと同時に、部屋の扉がコンコンと叩かれた。

「はい。何ですか?」

失礼いたしますと腰を折る使用人に、由莉は柔らかい笑みで応える。

「明日のお誕生日パーティーで由莉様がお召しになる服が届いたのですが
一度合わせられますか?」

「いいえ遠慮するわ。
わざわざありがとう。」


失礼いたしました と言って使用人が下がると、由莉は疲れたように近くのソファに座りこんだ。

パーティーは社交の場。
いかにたくさんの重要人物とつながりを作れるか、
華やかな笑顔に本心を隠し、狡猾に利益を求め動く場。
現に明日のパーティーだって
父の次の事業のために絶対不可欠な人物とのつながりを作れるかどうかは由莉の肩にすべてかかっている。

がんばらなきゃね…

はぁ…とため息をついた由莉の顔は
それでも 柔らかく笑ったままだった。
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