ZAGARDIA TALE

□序章
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高田由莉は頭の良い人物だ。

決して天才というわけではなかったが、幼い頃より蓄え続けた豊富な知識のおかげか
今までたいていのことは想像できたし、なにが起きても驚かない自信があった。

自分のことを完璧に制御し
‘人当たりよく、冷静沈着な大人’
という評価を誰からでも与えられた。

それなのに
それなのに、だ。

由莉は今、覚えている限り生まれて初めて
さっぱりわからないという感情に混乱気味だった。

何故…何故自分はこんな深い森の中に居るんだ!?

‘気づかないうちに知らない場所にいた’
という事象から考えられる可能性は夢遊病か一時的な記憶喪失。

夢遊病は有り得ない。
なぜなら体中の痛みを感じているからだ。
夢遊病患者は徘徊中 一種の恍惚状態に陥るはず。
だから明らかに自分は当てはまらない。

だったら記憶喪失なのか?
でもそれもいまいち信憑性がない。

自分の記憶をたどれば簡単に思い出すことができる。
そう…さっきまで 自分は華やかなパーティーの場に居たはずだ。
それなのに、今は建物どころか人っ子一人居ない深い森の中。

2つの場所はあまりにも違いすぎる。

どんなに考えても
いつもならすぐに答えをはじき出す由莉の頭は
さらに混乱するばかりだった。

そもそも…一体なんでこんなことになったのか…
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