◇変わらない想い


□砂漠に吹く、風
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自分が誰かを頼るようになるなんて思わなかった。
周囲の人間とは上部だけの付き合いを続けていくつもりでいた。

しかし、人とは変わるもので…。


気づけば、自分も人並みに他者を頼るようになっていた。
孤独とは傲りであると。
孤独とは辛いものであると。
演習の事件もあり、身を以て知った。

あの事件の直後は周囲の突き刺さる視線を感じたが、今はそれはない。
共に演習のメンバーだったマーレンという女生徒が、誰にも非がないことを訴えてくれたおかげだ。

彼女はむしろ、あたしに感謝していると言う。



あたしたちの演習を受けて、他のクラスの演習は、いつも通り砂漠で実施されることになった。
これも当然の結果だろう。
あの得体の知れない魔物が他にもいるかもしれないのだから。


少しずつ平穏を取り戻しつつある学校で、演習で亡くなった生徒たちを弔う式が執り行われた。
最後に行方不明となっていた生徒の死亡が確認されたからだ。
これで死者は4人。
士官学校の演習で死者が4人も出たことは、軍の会議にかけられたそうだ。

そしてあの演習から1ヶ月が経ち、ヒューバートと2人、卒業へ向けてラストスパートをかけることにした…その矢先…
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