◇変わらない想い
□蒼い国、蒼い少年
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「今回もやっぱりアシュレイか…。」
「さすがだなぁ…。」
「一体どんな勉強してるのよ。」
ここは軍人養成学校のとある廊下。
壁に張り出された大きな紙の前が何やら騒がしい。
その紙には細かく名前と何らかの順位と点数が書かれている。
その前に群がるたくさんの生徒たちは、その紙の一番上に記された生徒の名前を見ていた。
この紙に書かれているのは前期の最終成績順位。
そしてその1位の人物とは、アシュレイである。
アシュレイは、無事に父を説得し、大統領の娘であることを伏せてこの学校へ入学した。
そして彼女は筆記、実技ともにどんどんその頭角を露にし、今では常に成績トップである。
本人は勉強が好きなわけではないが、
父に「成績トップ10以内に入らなければ学校をやめさせる」と言われ、死に物狂いに勉強した結果こうなってしまった。
実技に関しては、元騎士団員の母の血を継いでいるからかもしれないが…。
最初の頃はライバル宣言してきた人たちも、今では完全に諦めモード。
全く張り合いのない日々が続いている。
…………というのは丁度1年ほど前までの話。
最近になって、少し状況がかわってきた。
この間の成績発表で、あたしの2位につけた少年。
彼は1年前に編入生としてこの学校にやってきて、どんどん成績を伸ばしていた。
彼に目を見張るものがあったことはあたしも知ってる。
その彼がとうとう2位まで上り詰めてきた。
しかもあたしとの点差はわずか1点。
彼の名は…………ヒューバート・オズウェル。