◇変わらない想い
□灯火に選ばれて
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タスケテ…アナタ…チカラ…トモニ…
それは光となって消えた。
あたしと母が、ウィンドルのお城でのパーティに参加した帰りだった。
母が帰りの準備をしている間、あたしは初めて来たバロニアの街を歩き回っていた。
ストラタとは違う、のどかな風があたしの髪を掻き上げる。
賑わう商店街を抜けて、今あたしがいるところはどうやら協会のような場所。
そこであたしは不思議な少年が倒れているのを見つけた。
少年は淡い金髪に見たこともないような格好をしていて…
所々剥き出した金属の体が少年は人間ではないことを物語っていた。
「あなた…一体…?」
少年がその瞳であたしをとらえる。
得体の知れない機械の少年にあたしは不思議と危険を感じなかった。
「ねぇ、どうしたの?あなたロボットよね?どうしてボロボロなの?」
……ラ…ムダ………。
「ら…むだ?あなたの名前?ラムダって言うの?」
…タオス…プロト…ヘイ……マモ…
「倒す…?だ…誰か呼んでくるね!あなたを修理できる人を探してくるから」
その場から離れようとしたあたしを、少年の腕が咄嗟に掴んだ。
だが、その腕はギギギと軋む音をあげてその場に力なく落ちた。
タスケテ…アナタ…チカラ…トモニ…。
「……え?」
すると少年の体は光の粒となってあたしを包んだ。
そしてあたしの体に吸い込まれるように消えていった。
目の前に壊れた機械の少年の姿はなく、協会の前にはあたししかいなかった。