ワイルドカードは複数枚あるぞ!

□交流試合は楽しいぞ
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ここは放課後の咲神高校ヴァンガード部。興奮冷めやらぬ小早川の発言に呆然としているミク達を余所に、ユタは交流試合の詳細を聞き出していた。


「交流試合って、福原高校とウチだけって話ですか?」

「いい質問ね神谷君!な・ん・と!福原高校だけでなく、後江高校ヴァンガード部とも交流試合をすることになったの!」

「後江高校?」

「そういえば、後江高校って戸倉さんのチームメイトの1人が通っているのよね?確か名前は……」

『櫂トシキ。後先導アイチって子は後江中学に通っている筈だ』

「その通り!そして最後の1人・葛木カムイ君は、小学6年生にして大人顔負けの実力ファイターよ。けど川瀬さんが意外にお勉強熱心で感心するわ〜。もしかしてチームQ4のファンなのかしら?」

『えっ、ああそうなんです!実はあたし、ヴァンガードに関しては人一倍勉強してるって自負してまして(危ねぇ。もしかして変な奴として見られたか?)』

「まっ、川瀬も彼奴等に会ったことあるから知っててもおかしくないからな(大丈夫だよ。そう思われてないから)」


密かに転生者と怪しまれないように行動しつつ、交流試合に関するプリントを確認するミクとミサキ。その一方で「交流試合楽しみ!あの子もこの子も使いたいなー!」と大はしゃぎするサユ。そんな彼女に「月下さんは一端落ち着いて下さい」と諌めるツカサ。4人に呆れつつも無言で見守るユタ。
そんな彼女達に対し小早川は「これぞ青春って感じがするわね〜!」と独特な感性で見守っている。


「皆さん、詳しいことは私が改めて説明するから、今日は解散としま〜す」

『はい!ありがとうございました!』

「礼儀正しくて宜しい!それじゃ、また明日ね〜!」


嵐のように去って行った小早川の背中を見送った一同。そんな中、いの一番に帰り支度を始めるユタにサユは不満そうな顔で詰め寄っていた。


「ちょっとユタ君!これからみんなでデッキ組んだり作戦会議するんだから帰らないでよ!」

「そんなのやりたい奴等だけやればいいだろ。俺、交流試合とか興味無いし」

「ぬわにぉぅ!?ユタ君は咲神高校ヴァンガード部の部長なのに、そんな発言許されないぞ!」

「別にやりたくてやってるわけじゃないし。単に俺が先輩ってだけだから部長やってるだけ。俺がこれからどうしようとお前には関係ないだろ」

「ぐぬぬぬ、そんな素っ気無い態度ばっかりなユタ君はこうしてやる!」


痺れを切らしたサユがユタのデッキケースを奪い取り鞄の中に詰め込む。それを返せと怒りを滲み出しながら手を差し出す彼にサユは「返してほしければ作戦会議に出ろ!」と上から目線で言い放った。
が、ユタはそんな脅しは効かないと言わんばかりにサユを猫騙しで怯ませ彼女の鞄を引っ手繰り素早く部室を出ていく。
数秒後、鞄を奪われたことに気付いたサユは「コラー!私の鞄返せー!」とマッハでユタを追い掛ける羽目に。
一連の出来事を見届けたミク達3人は呆れつつ帰り支度をして部室を出ていくのであった。



日曜日、交流試合の会場である福原高校に到着したミク達。まるでショッピングモールのような外観の福原高校を見て、自分達が通う咲神高校とはまた違った雰囲気を感じ取れる。


『デッケぇなー福原高校。流石フーファイターの本部の役割も兼ねてるだけのことはある』

「あー、確かフーファイター傘下の学校法人が経営してるって聞いたことあるわ。ここに入るにはIDカードがないと駄目そうだし」

「皆さんご心配なく!先生が予め福原高校には連絡しておきましたから、案内役の人が来るのを気長に待ちましょう!」

「えー、そんなのつまんないよー。早くファイトしたいのにー!」

「月下、あんたなぁ……」

「あははは、月下さんらしいですね」

『(福原高校か……懐かしいなぁ)』


前世でレンからの頼みで舞汐町から引っ越し、転校生として入学した学校。フーファイターの当主の友人としてやっかみを受けたことはあるが、それらはレンの力添えで消滅。それでもしつこい相手はヴァンガードで全員叩きのめしてきた。
公式の大会等は面倒臭いと今迄出ていなかったが、福原高校ヴァンガード部の一員としてヴァンガード甲子園に出場。嘗ての母校である天津風学園やソウルメイトのいる後江高校と真剣勝負をした。

あの頃のような青春をまた送りたい。そんな事を考えていると、福原高校の案内役としてテツが現れる。今は他校との交流試合に集中すべきと頭を切り替え、早く来いと催促する仲間達の元に向かった。




「まったく、最近のフーファイター達も血の気の多い連中ばかりになったか……」


テツの案内でエレベーターに乗り、地下のファイトスペースに移動したミク達。彼は呆れながらも既に始まっている交流試合に視線を送る。
お互いの闘志を表すように、ファイトテーブルの周りをホログラムの炎が舞っている。
ファイトをしているのは福原高校と後江高校の生徒。福原高校からは垂れ耳の犬のようなクリーム色のロングヘアーに三白眼の少年、後江高校からはスノーホワイトのショート(イメージは刀剣○舞の鶴丸○永)に緑の瞳の少年だ。
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