追走少女と管理者少年

□No.49 新入部員募集中
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ヴァンガード部を作ろうとナオキとミサキを協力者にしてトキハは早速昇降口でチラシ配りをしていた。チラシはシンが作ってくれた。


「トキハ君、これって何?」


『アイチじゃんか!これな、ヴァンガード部って言うんだ。よかったら入ってもらえれば…』


「…ごめん、トキハ君。僕はもう……」


『あ…悪い、悪かった!別に無理にとかは言わねえからさ、気が向いたらでいいんだ!』


アイチの心情を察したトキハは慌てながらも彼女にチラシを渡す。受け取った彼女は「うん」と中途半端な声色で答え、教室に向かった。


「トキハー、何やってんのー?」


『ルカ!お前等ヴァンガード部に入らないか?』


ルカ達に出会ったトキハは彼女達にチラシを配る。それに一通り目をやると、カルマは「入ってもいいか?」と尋ねる。トキハはそれに対して「当たり前だろ!」と意気揚々に答えた。彼にとって、友人との交流時間が増えることと部員の確保という一石二鳥の事情があるからだ。

無論、残りの3人の質問にも二つ返事で返した。


「或月君!私も入る!」


「俺もだ!嗣永さんと夕海さんとヴァンガードしてえ!」


「俺もだ!」


「私も!」


それを見ていた生徒達は一斉にトキハ達に集まり、入部希望の声を上げる。だがそれはヴァンガードに対する情熱ではなく、カルマ達に対する「下心」だった。
それを勘付いたカルマやルカは「本気じゃない人は入部させない」と答える。無論生徒達は本気だと答えたが、それは建前であろう。


するとナオキはカルマ、ルカ、アルベルト、ハルネ、ミサキ、トキハの内誰か1人に勝てた者を入部させると提案した。自分を入れていないのに些か疑問が残るものの、カルマ達はやる気満々だ。


「…あたしはやる気はな「ハルネはやるよねー?あたし達を捨てるわけないもんね!」


また始まった―ハルネが気付いた時にはルカの目には圧力しか残ってなかった。こうなったらもう手遅れだと知っている彼女は「はいはい」と聞き分けの悪い子供に対する母親のような返答をする。

そして放課後、有言実行したものの所詮は建前の生徒達は…
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