追憶少女と記録者少年
□No.6 力の目覚め
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リオンはトキハのいる実験室に入る。
そこには何が起きたのか分からず、ただ呆然としているトキハがいた。
「トキハ。ねえ…俺のこと覚えてる?」
『…お前、誰?』
「…俺のこと分からないの?俺だよ、仮宮リオン。俺の…たった一人の、親ゆ「或月!」
リオンは声がした方を向く。
そこには息が乱れているミサキがいた。
「お前…何でいるの?」
「シャロンさんが背中を押してくれた…或月、大丈夫か?」
『……お前、誰?』
ミサキは顔を強張らせた。
今彼は何と言った?
彼は自分を覚えてないのか?
「何言って…或月、私だ!戸倉ミサキだ!」
『戸倉、ミサキ?……知らない、知らない。お前なんて知らない!』
頭を両手で抱えながら、ミサキの発言を拒絶するトキハ。
頭が割れるような頭痛が、彼を襲っている。
「おい或月!思い出せ!…或月!!」
『嫌だ…来るな!来るな!来るな来るな来るな来るな来るな!お前なんて…お前なんて知らない!お前なんて…お前なんて知らない!!』
「或月……或月!」
『来るな!来るな…来るな……来るなああああぁぁぁぁ!!!』
痛みの余り、泣きじゃくるトキハ。
するとリオンがトキハに近付き、彼の頭を優しく撫でながら諭す。
まるで母親が泣きじゃくる子供をあやすように。
「ねえ、トキハ。大丈夫。これからは俺達、ずっと一緒だから。」
『リオン…俺、リオン達と一緒にいたかった。でも、父さんが死んで、ソウハさんとケイカさんに引き取られることになったから…リオン達と、一緒にいれなくて…俺、リオン達との、約束…守れなくて、俺』
「大丈夫だよトキハ。これからはずっと一緒だから。だから…
俺達とトキハ以外の人間なんて、全部消してあげるから。」