追憶少女と記録者少年

□No.6 力の目覚め
1ページ/9ページ

リオンはトキハのいる実験室に入る。

そこには何が起きたのか分からず、ただ呆然としているトキハがいた。


「トキハ。ねえ…俺のこと覚えてる?」


『…お前、誰?』


「…俺のこと分からないの?俺だよ、仮宮リオン。俺の…たった一人の、親ゆ「或月!」


リオンは声がした方を向く。

そこには息が乱れているミサキがいた。


「お前…何でいるの?」


「シャロンさんが背中を押してくれた…或月、大丈夫か?」


『……お前、誰?』


ミサキは顔を強張らせた。

今彼は何と言った?

彼は自分を覚えてないのか?


「何言って…或月、私だ!戸倉ミサキだ!」


『戸倉、ミサキ?……知らない、知らない。お前なんて知らない!』


頭を両手で抱えながら、ミサキの発言を拒絶するトキハ。

頭が割れるような頭痛が、彼を襲っている。


「おい或月!思い出せ!…或月!!」


『嫌だ…来るな!来るな!来るな来るな来るな来るな来るな!お前なんて…お前なんて知らない!お前なんて…お前なんて知らない!!』


「或月……或月!」


『来るな!来るな…来るな……来るなああああぁぁぁぁ!!!』


痛みの余り、泣きじゃくるトキハ。

するとリオンがトキハに近付き、彼の頭を優しく撫でながら諭す。

まるで母親が泣きじゃくる子供をあやすように。


「ねえ、トキハ。大丈夫。これからは俺達、ずっと一緒だから。」


『リオン…俺、リオン達と一緒にいたかった。でも、父さんが死んで、ソウハさんとケイカさんに引き取られることになったから…リオン達と、一緒にいれなくて…俺、リオン達との、約束…守れなくて、俺』


「大丈夫だよトキハ。これからはずっと一緒だから。だから…









俺達とトキハ以外の人間なんて、全部消してあげるから。」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ