未定
□5秒で心臓が止まる
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父は、戦から帰ってくると一番に私に私を抱き締めた。私も父の帰りが待ち遠しくつい駆け出してしまい母に「はしたない!」と怒られたものだ。
私が九つになった頃、父は戦から帰らず人となった。父の首を持った敵が攻め入り、母を襲い私は家臣に手を引かれ当時同盟を組んでいた伊達の領地に命からがら逃げ延ることができた。
幸せから一転私は、地獄の日々に変わった。
伊達の領主は亡き父への恩から私の滞在を許してくれたが、他の物は私を厄介者とした。
「私は間違ってなどおりません!」
「小娘が、生意気に!」
この日も、他の姫と口論になり雪の降る夜。
裸足のまま外に出された。
言う通り外で立っているだけなんて尺だったので少し庭を散歩した。
雪景色が美しい。
ふと足元を見れば、足から血が滲んでいた。
感覚がないせいで気づかなかった。
「おい、お前」
「……?」
呼ばれて振り向くとそこには眼帯をした少年。
きつい眼をしているのが印象の少年だ。
「あなたは誰?」
「それは俺の台詞だ」
「私リア、今お仕置き中なの」
「何したんだ?」
「西洋の言葉です。間違っていると指摘したら怒られてしまいました。あなたは?」
「稽古を抜けてきた。相手にならん」
彼は自室に私を誘った。
「なりませぬ」
「気にしてる場合か、足が使えなくなるぞ」
「殿方の部屋には行けません」