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□好きって言ってよ。
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『ん〜、このパフェ美味しーっ!』

「やっぱりそうだろ?
 絶対誇虎が好きそうだって
 思ってたんだよな!」

そう言って彼は私に、はにかんだ。

そんな太陽みたいな笑顔に普通なら
女性達はときめくのだろう。

だが、私はそうではない。

私は彼の笑顔や優しさに苦しくなる。


私は彼の事を愛している。

誰にも負けないくらい、
誰にも想像出来ないくらい、
誰よりも私は彼の事を愛している。


でもこの恋は叶わないのだ。

だって彼には恋人がいるのだから。

この前、彼とロマーリオさんの話に
“ローザ”って名前が出てきて、
気になって話を盗み聞きしていると
どうやらその“ローザ”って人を彼はとても
大切にしているらしい事がわかった。

チラリと彼の顔を盗み見ると彼の顔は
へにゃりと緩んでいたし。

あれを見た時に
“あぁ、叶わない恋だ”って思った。


それでも彼がランチとかに誘ってくれたら
嬉しくて、つい“行く”と頷いてしまう。

後で辛く惨めになって泣いてしまうのは
分かり切っているのに。

そんな感じで前までは、それでもいいから
彼に会えなくなる方が嫌だと
そう思ってそうしていたのだけれども
最近はそんなズルい自分に物凄い
嫌気がさしてきた。だからー…


『ねぇディーノ、あのねー…』


ピリリリリッ、ピリリリリッ、


「うわっ、悪ぃ…ロマーリオからだ。」

『や、気にしないで?』

「すまねぇな」


謝るディーノに苦笑いを返す私。

…しかしまぁロマーリオさん。

タイミング悪過ぎやしません?

そう思って溜め息を吐いた。


「もしもし、俺だ。
 ー…なっ、ローザが怪我?!」


ディーノが焦っている。

…そりゃ、恋人が怪我したらねぇ。


「は?顔にだと?!何でだ?!」


もう取り乱しすぎでしょ、本当に。

本日二度目の溜め息を吐くと
私は荷物を纏め始めた。

その様子を見て目を見開くディーノ。


「え、誇虎?」

『怪我、したんでしょ?ローザさん。
 早く行ってあげなよ、ね?』

「だ、だがよ…」

『私は構わないし、ほら!
 早く行きなさいな跳ね馬っ!』


そう背中を押すと彼は悪ぃ!と言って
走り去ろうとした、が。


「のわっ?!いってぇー…
 この靴、壊れてんのか…?」


躓いて、転んで、起き上がって、
また躓いて、転んで。

ロマーリオさんが来るまでそうして
傷を作りながらも走っていた。


『…へなちょこディーノめ。』


そんな私の呟きは街の賑わいに消された。


***


〈誇虎にローザを紹介したいんだけどさ、
 明日時間開いてっか?〉

そんなメールが届いた昨夜。

まじかよ、て思ったし正直嫌だったけど
これは諦めるチャンスかもしれないなと
そう思ってキャバッローネの屋敷の前に
いる現在。何だか緊張してきたし。


『…ハァ。』


また溜め息が出た。

最近溜め息ばっかりだな、私。

すると前の方からこちらに誰かが
駆け寄ってくる気配がした。


「待ってましたぜ誇虎嬢!」

『こんにちはロマーリオさん』


頭を下げるとボスがお待ちかねだ、と言って
ロマーリオさんが案内してくれた。

そして目の前にはディーノとローザさんが
いるであろう部屋の扉。


「ボス、誇虎嬢を連れてきたぜ」


おう、と中から聞こえる声、開かれる扉。

ぎゅっと目を瞑り、事実を受け入れる
決心して目を開ける。

その先にはー…


「よ、待ってたぜ?誇虎」



笑顔でソファに座るディーノと
その隣に優雅に座る顔に右斜めに傷のある
上品な白い毛のー…



『う、うさぎ…?』

「んじゃ紹介するぜ。
 ローザ、俺の可愛いペットだ。」





な  ん  だ  っ  て  ?





『はぁぁああああああああああ?!』

「うわっ、何だよいきなり?」

『だ、だって、うううううさぎぃぃ?!』

「いや、え?誇虎?」


どういうことコレ?

ローザさんはうさぎ?

あんなに頬緩めてた相手がうさぎ?

あれ、あれ?


『…』

「うわっ、ちょ、何泣いてんだ誇虎?」

『ローザってディーノの恋人だと思ってた』

「は?」

『ディーノって彼女いるんだって思ってた。
 私失恋したんだって思ってたぁぁぁ』


どうしよう、涙が止まんない。

てか何気に告白しちゃってるし。

もう何がなんだか分かんない…


わんわん泣き続ける私に
ディーノはオロオロしてる。

ローザはそのままソファでのんびりしてる。

それ見てロマーリオさんは笑ってるし。

笑い事じゃないでしょ私の苦労は何なの?


「な、なぁ誇虎、一つ聞いていいか?」

『う、ひくっ、何…?』

「俺らって付き合ってんじゃないのか?」

『は…?』


次は何言い出すのディーノは。

今ので涙引っ込んだ。

てか誰もお互いに告白なんて
したことなかったじゃない。


『私、ディーノから好きって言われた事、
 一回でもないけど…?』

「や、毎日ランチは一緒だしよ、
 もう付き合ってんだと思ってた。」

『…馬鹿じゃないの?』


もう、本当に馬鹿。

何を早とちりしてんのよ?

でもそんなところも、へなちょこなところも
全部大好きで愛してるから。


『ねぇディーノ…?』









好 き っ て 言 っ て よ 。









「好きっつーよりも、愛してる。」

『…私も愛してる。』


遠回りしすぎて、やっと通じた後の
初めてのキスは少し酸っぱかった。

−END−

*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*

※後書き


アンケで切甘をリクされてたので

よし書いてみよう!と思ったら…コレ。

切甘か…?

いや、違うね…

ちゃんと書けてないけど、
決してディーノが嫌いなワケではない!


むしろ愛しているさ!←


…努力しますね(´^ω^`;)


ここまで読んで下さった誇虎様、
ありがとうございました!!!

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