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□一目惚れなんだ
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同盟ファミリー同士で
集まり行われるパーティー。

元々パーティーが大嫌いな私が
こうしてパーティーに参加するのは
気になる人がいるからかもしれない。


金色の髪に優しい瞳の男性。


話した事も無ければ目が合った事すら無い。

それなのに気付けば
彼に惹かれている自分がいた。

だから無意識に彼を見ている事がしばしば。


アルコバレーノのリボーンに
“話し掛けりゃいいじゃねぇか”って
言われたけれども、出来ない。

彼の周りはいつだって煌びやかな女性達が
囲んでいるから。

あんな綺麗な女性達に比べて
私は劣っているに決まってるもの。


そんな事を思ってると憂鬱になってきたので
手元のワインをぐっ、と飲み干して
パーティーの中心から抜け出す。

そして近くにいたボーイに新しくワインを貰い
風通しの良いであろうバルコニーに
出る事にした。



そういえば彼はキャバッローネファミリーの
十代目ボス、ディーノというらしい。


***


「隣、いいか?」

背後から男の声が聞こえた。

どうやら私に対してだそうだ。

その男の程良いテノールの声が
何だか心地良く、特に嫌でも無かったので
振り返って男の顔を見る事はしなかったが
どうぞ、とだけ言うと
背後にあった気配が横に移動した。


「パーティーは嫌いなのか?」

『あら、どうしてそう思ったの?』

「いや、こんな所にいるからさ?」


どうなのかなー?って思って。と
付け加える男に私は溜め息混じりに言う。


『…嫌いよ。虚しくなるもの。
 貴方こそ、どうなのかしら?』

「ん、俺か?俺も嫌いなんだけどさ、
 探してる人がいるから来てんだよな。」

『探してる人?女性かしら?』

「そう。あーその、アレだ。
 好き、な人を…探しに来たんだ。」


そう何故か照れながら言う男に少し呆れた。

こんな所で油売ってる場合じゃないでしょ?


『ならこんな所にいないで
 早く探さないと駄目じゃない?』

「へへっ、それが今、見つけたんだ」

『そう。ー…ん?』

「…君の事なんだけどな、鳳誇虎さん」


今、何て言った、この人?

私は驚いて初めて男の顔を見た。

金色の髪に優しい瞳ー…


『あ、貴方ー…』

「はじめまして、誇虎さん。
 俺はキャバッローネファミリー
 十代目、ディーノだ。ヨロシクな」


何て事だ。

夢でも見てるの私?


『どうして貴方、私の名前ー…』

「あれ?さっき言わなかったっけ、俺。
 えーと、もう一回言わなきゃ駄目か?」

『は?』

「いや、だってさ…恥ずかしいだろ?」


凄く照れてる、この人。

そういやさっきこの人はー…



“ そう。あーその、アレだ。
 好き、な人を…探しに来たんだ。”



『好、き…?でも、何で…』

「その、アレだ。俺さ、君に…」










一目惚れなんだ。











『え…』

「な、何か悪ぃ、突然すぎるってか
 初対面でこんなの困るよな…」

『や、あの、ディーノさん?』

「べ、別に無理しなくてもい、」

『私も貴方と同じだと思うの』

「え?」

『ひ、ひひひ一目惚れよ…』


私の言葉を聞いて一瞬目を見開いた後に
無邪気な満面の笑みを浮かべる彼に
きゅんとしたのは気のせいじゃないと思う。


(ロマーリオ、リボーン、やったぜ!)
(良かったじゃねぇかボス!)
(へなちょこでヘタレな告白だったけどな)
(え、あの、もしかして貴方達…)
((あぁ、最初から見てた))
(は、恥ずかしい…)

−END−

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