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□俺が確実に死ねる方法
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ヒュン、カカカカカカカッ

「わ、危ねぇ」

ヒュンッ、カカカカカカカカカカカカカカッ

「うぉっ、危ねぇっ」

ヒュンッ、カカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカッ

「ちょ、ベル先ぱ」

ヒュンッ、カカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカッ、

        グサッ!

「いってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ
何しやがるクソ王子ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!」


此処は独立暗殺部隊VARIA。

血の気の多い者共の集まり。

だからこんな事は日常茶飯事だ。







だが、
だからといって全てを許せる訳でもない。



***




「王子にクソ言うとか良い度胸じゃん」

「いやいや任務帰りの後輩に
無数のナイフ投げるからッスよクソ王子」

「何まだクソとか言うわけ」

「あらそんなにクソが嫌なんスかそうなんスか
それなら未来のカエルみたいに堕王子とか
王子(仮)とかの方がベル先輩はお好みなんスか
そうなんスか理解しましたよ誇虎は物凄ぉく
物分かりの宜しい可愛い後輩ちゃんなのでね
あぁでも誇虎的には堕王子の方が好みってか
言いやすいんスよね今後は堕王子と呼ばせて
頂き「黙れよお前二度と喋れなくしてやんよ」

ヒュンッ、カカカッ!

「わ、危ねぇなぁベル先輩よぉ。
てかこの壁に刺さりまくってるナイフ、
どーするんスか。ルッス姐さんにまた
怒られますよ?このままだと。」

「めんどくせー…
お前がやっといてくんね?」

「はぁ?なんで誇虎が…」

「だって俺、王子だもん」

「…黙れよ堕王子」

ヒュンッ、グササササッ!!!!!!

「いってえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

「…刺さったら死ねよ」



***




ベルフェゴールは少し焦っていた。

確かに此処は最強の暗殺部隊VARIAだ。

柔な人間が生きていける筈はない。

特に幹部なんかそうだ。


だが、それでも、だ。


彼のあのナイフがぐっさりとかなり深く
腹やら肩やら頭やらに刺さっているのにも
関わらず彼女は「いってえぇぇぇぇぇぇ」の
叫びを上げるだけで後はグチグチと
文句を垂れながらナイフを抜いていく。


…確かに抜き取ったナイフには
べっとり血ぃ付いてるけどさ、
刺し口から全く血ぃ出てなくね?


「…なぁお前さ、」

「ん?何スか?」

「どうやったら死ぬワケ?」

ベルの質問に誇虎は
愚問ですね、先輩。と笑う。

「聞きたいですか?」

「だから聞いてんじゃん」

「じゃあぶっちゃけちゃいますと、





俺、スク先輩に抱き締められたら
絶対天国へ旅立てると思います、ハイ。」



…ナ ン テ イ マ イ ッ タ コ イ ツ ?


「…今の幻聴?
あれマジで王子の耳おかしくなった?」

「や、幻聴じゃないっスよ」


…マ ジ デ イ ッ テ ン ノ コ イ ツ ?


「お前頭だいじょーぶ?」

「誇虎の脳内は常に正常です」

「なにお前スクアーロの事好きなわけ?」

「あれ、前に一度相談しませんでしたっけ?」

「や、そうだけどさ」


まさか本気だとは思ってもいなかった。


「だってですよ?普段は目つき鋭くて
とーっても怖そうな人なのに、
たまに見せるあの笑顔!あれは反則っスね」


普段の誇虎のサバサバした
イメージからはかけ離れた乙女モード全開の
彼女にベルはそういえば、と思い出す。


「そういや誇虎知ってる?」

「何をっスか?」

「あそこのソファに何が隠れてるか」

「え、何スか何スか?
UMAでも隠れてるんスか?」

いーから行って見てみろって、と
促され誇虎が行ってみた、らー…

「す、す、す、すくあーろ先輩ぃぃ…」

「ゔお゙ぉ゙…誇虎ー…」


顔を真っ赤にしたスクアーロが隠れていた


「べっ、べっ、ベル先輩いいい!!!!!!
なななな何で言ってくれなかったんスか!」

「わりーわりー」

「こんの堕王子っ…ぶっ殺す!!!!!!!!!」

「ゔお゙ぉぃ待てぇ誇虎!」


今にも噛みつきそうな誇虎に
スクアーロから制止の声が掛かる。


「す、スクアーロ先輩…」

「ゔお゙ぉぃ誇虎…
さっきの話は、その、本当かぁ…?」

「そ、それはそのー…」

「本当だろ?うししししっ」

「な、ベル 先輩っ!」


顔をこれでもかという程
真っ赤にさせた誇虎にベルは
がんば〜とだけ言って手を振り
談話室を後にした。


「…誇虎。」

「な、なんでしょうスク先輩」

「今すぐ死なせてやる」






俺が確実に死ねる方法






この後、二人がどうなったかは
言うまでもないであろう。





(しししっ王子恋のキューピッドじゃね?)



* end *

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