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□血に染まっても尚、
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今日のやたらキツい部活が終わって、
その後は遅刻の罰で1人で部室掃除をして
それも終わったから着替えて
帰ろっかーってなってたら真っ暗な空から
静かに雨が降り注いでいた。


今日の天気予報、雨が降るなんて
言ってなかったのなー。


そんな事を思いながら歩いていたら
横の裏路地から鉄臭い、血の臭いがした。


“殺人”


そんな単語が頭をよぎった。


まさか、な。


危険だって事はわかるけど、
勝手に足が路地の奥に進んでて。

気が付けば俺の足下には
男の死骸が3つ、転がっていた。

その奥に目を向けると
其処には俺の好きな子がいて、
目が合うと彼女は一瞬驚いた顔をして、
少し自虐的な微笑みを俺に向けた。

「山本君、私ね、フリーの殺し屋なの。
だから貴方がボンゴレ10代目ー…
沢田綱吉君の雨の守護者だって事も
その他の守護者の存在も実は知ってるの。



…ふふ、驚いたかな?」

「誇虎、これはー…」

「そ、私が殺ったの。
貴方達ボンゴレを狙う奴らの一部よ」

そう言って彼女は悲しげに顔を歪めて笑う。


「お願いだからこれ以上近寄らないで」

「…?」

「私ね貴方が好きなの、
だからこんな姿見られたくない」

返り血、浴びすぎちゃった。と彼女は
付け足して、笑った。

奥にある小さな影から聞こえる
その声は微かに震えていて
泣いていることが直ぐにわかった。


「…大丈夫なのな、誇虎」

一歩一歩、俺は彼女に近付いて、

「や、まもと、くん?」

目の前にある小さな影を、

「人殺しでも、どんな姿でも俺は」


“お前の事、絶対に愛せるから”


抱き締めて、そう囁いた。


ありがとう、っていう小さな声が
聞こえると同時に俺の背中に
細い腕が回されたのを感じた。


暫くして静かに体を離すと
返り血を浴びた生々しい姿がそこにあって。


嗚呼、それでもやっぱり、









血に染まっても尚、君は美しい。









そんな事を俺が思ってるとわかったのか、
彼女は俺に一言「貴方も狂ってるわ」と
そう言って笑み、立ち去ってしまった。


この日を最後に彼女が再び
俺の前に姿を現すことは無かった。


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