†Jilbreak“Demone nero”†
□歪ンダ笑ミ
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『さすがジャッポーネの風呂…
湯加減が最高に良いっすねぇ』
並盛町のとある木造住宅の廊下を
ぺたぺたと足音を立てて歩く少女。
何の変哲もない、ごくごく普通の平凡な雰囲気のこの家は彼女にとっては新鮮であり、また馴染み易かった。
そして何よりもこのマシュマロの如く柔らかなタオルー…
( …これは“ボー○ド”とやらの柔軟剤仕立てなんすかねぇ? )
そんなどうでも良いことをぽわぽわと考えている時だった。
微かに感じる、背後からの殺気。
『…せっかく人が極楽風呂とマシマロタオルの余韻に浸っていたというのに』
ふぅ、と溜め息を吐くと少女は背後を振り返った。
『気配消して銃口向けるなんて乙女に対してとるべき行動ではないっすよ、リボーン氏?』
「…バレてたか」
『リボーン氏ってぶっちゃけ紫鬼のこと舐めてますよねぇ』
やだなぁもう、と無表情ながらも呑気に笑う少女の額にカチャリと銃口を向け直し威嚇するリボーン。
彼の目に殺気と緊張感しか宿っていないのを察すると少女は再び溜め息を吐き、笑うのを止めた。
「お前に聞かなきゃならねぇ事がある」
『ん?』
「お前は8年前に復讐者の牢獄に沈んだはずだぞ。
そしていくら金を積んだとしても出所は許されないとも聞いた」
『リボーン氏の仰る通り。』
「だがお前はここにいる、何故だ?」
『何故ってそんなの…決まってるじゃないっすか』
そう言うと少女は笑う時でさえ無表情であったその顔を、唇を歪ませた。
『脱獄っすよ。かつて最も残忍な殺し屋として名を馳せた“ 黒鬼 ”らしい方法でねー…』
初めてリボーンが見た少女の表情は恐ろしい程に歪んだ、残忍な笑みであった。
歪 ン ダ 笑 ミ
( しかしご心配なく。主に危害を加える気はゼロっすから )
( …?)
( だって主って可愛いし、何よりいい子っすからねぇ〜…
イジリ甲斐ありそうっすね ふふふ!)
( … )