Main ★ぷよぷよ★
□紅い魔物
1ページ/4ページ
紅い瞳。
紅い腕。
異様な体をした水色の髪の少年、シグが、クラスで浮かないはずもなかった。
シグが廊下を歩くと、当然のように皆教室に戻る。それが酷く虚しかった。
教室に入った。
授業の時間はシグの近くにいらなければならない。
だから、せめて休み時間だけでもシグから離れようと、生徒は廊下へ移動した。
しんと教室が静まり返る。
しかし、こそこそと聞こえるシグに対する非難の声だけは、しっかりと届いた――。
と、頭にとまっていたテントウムシが、シグの左腕にぴとりと止まる。
シグはそれを見て、僅かに微笑んだ。
ムシは、うらぎらない。
ムシは、さべつもしない。
そう、その辺にいる人間とは全然違う。
それからだった、シグが虫を好んだのは。
毎日のように森へでかけ、虫を捕まえる。
森にいる虫は、シグにすぐに心を開いた。
人間は自分たちを嫌うのに、彼は迎え入れてくれる。
虫も自分たちと似たところをシグから感じたのかもしれなかった。