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□紅い魔物
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紅い瞳。
紅い腕。

異様な体をした水色の髪の少年、シグが、クラスで浮かないはずもなかった。


シグが廊下を歩くと、当然のように皆教室に戻る。それが酷く虚しかった。


教室に入った。

授業の時間はシグの近くにいらなければならない。

だから、せめて休み時間だけでもシグから離れようと、生徒は廊下へ移動した。

しんと教室が静まり返る。

しかし、こそこそと聞こえるシグに対する非難の声だけは、しっかりと届いた――。

と、頭にとまっていたテントウムシが、シグの左腕にぴとりと止まる。

シグはそれを見て、僅かに微笑んだ。


ムシは、うらぎらない。

ムシは、さべつもしない。


そう、その辺にいる人間とは全然違う。

それからだった、シグが虫を好んだのは。

毎日のように森へでかけ、虫を捕まえる。

森にいる虫は、シグにすぐに心を開いた。

人間は自分たちを嫌うのに、彼は迎え入れてくれる。

虫も自分たちと似たところをシグから感じたのかもしれなかった。

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