第1章 -異世界編-
□1章21話 Re:start
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ブンとデュランは手を振り上げた。
(ぶたれる!)
反射的に目を瞑ったアリス。しかし頬に痛みを感じることはなく体がふわりと優しく包み込まれた。
「……デュラン?」
「コネクション繋がらなくなって心配した。無事でよかった。……ご両親の方は?」
「平気……大した怪我もなく下山したよ」
「そうか。オルグさんとリアーナさんも無事なんだな」
長い息を吐いてデュランは静かに立ち上がる。
「君達もご苦労だったね。今、飲み物を持ってくる。そこのソファーにでもかけていてくれ」
「はい」
「デュラン、私紅茶ね」
「わかってる。ダージリンで砂糖少な目だろ?子供達はジュースでいいね?」
デュランが奥へ向かうとアリスは背中を見つめたまま呟く。
「デュランさん、顔色悪かった……寝てないのかな」
「きっと心配で寝られなかったんだよ。俺達もアリスが行方不明になったって聞いた時「はっ?」ってなったからね」
「ごめんなさいι」
雅紀に言われて頭を垂れる。雅紀は目の高さを合わせて優しくいい子いい子した。
「アリスも俺達の大事な仲間なんだからね?もうあんまり心配かけたら駄目だよ。わかった?」
「雅紀……うん!わかった」
「よし、偉い。じゃ、座って待ってよっか」
「は〜い」
「お待たせ。まずこれ、サニア用」
「疲れてるところを悪いわね」
「いいえ」
白いカップが配られる。じーっと見つめるマシロ。
「! 飲みたい?」
「え?いいの?」
「いいよ。俺の飲みな」
右隣の雅紀からカップを受け取って一口。
「Σ熱っ!甘くない……」
「ストレートだもん」
潤もマシロの向かいでズズッと紅茶を啜る。