第2章 -精霊編-

□2章6話 精霊・トニトルス
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「俺にしか解けない……封印……」

・*:.。.2章6話 精霊・トニトルス.。.:*・

「マシロ、どうやったらこの封印は解除される?」

「黄色の子がこの魔法陣にエレスを注ぎ込めばいい。赤の子」

「エレスを注ぎ込む?」

マシロを抱っこした雅紀が首を傾げた。

「エレスを送り込むようにすればいいだけ」

「いいだけって簡単に言うけど……」

マシロは床に下ろしてもらい、和也に聞いた。

「魔法を発動する時みたいに集中するんだ。できる?」

「できるできないじゃなくて、やるかやらないか。世界のために動きますよ、私は」

拳をぐっと握るとマシロはニコッと嬉しそうに笑った。

「エレス奪われてるのにそんな無茶したら……」

「倒れた時はお願いします」

和也は背を向けたまま言い、小さな魔法陣に向かって手を突き出す。ゆっくり瞳を閉じて精神集中に入った。

「ニノ……頑張れ……」

祈る思いの雅紀。

アリスを肩車していた潤は床に下ろしてやり、ふたりでその姿を静かに見守った。

横一列に並ぶ翔、智、サニアも和也を黙って見つめていた。

ポゥ、と和也が眩しく黄色に輝き出す。

「ニノちゃ……!」

〔我と意識を繋ぐ者よ〕

声が辺りにこだました。

「誰!?」

雅紀が叫んだ。

「この声……まさかこれが精霊?」

と、潤。

「そう。今の声は雷の精霊・トニトルス」

「トニトルス?」

「どうして今度は俺らにも聞こえるんだ」

「黄色の子が魔法陣にエレスを注入したからさ」

智に言うとマシロは前に進み出る。

「雷を司りし精霊よ、会話がしたい。どうぞ我々の前にその姿を」

雅紀の喉仏がゴクッと上下に動いた。
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