第2章 -精霊編-
□2章3話 リズ
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・*:.。.ドリフォロス港.。.:*・
「アリス、アリス」
「……んっ……」
「港に着いたよ」
「まだ眠い〜」
「眠い〜じゃなくて下船しなきゃ。もうみんな降りて待ってるよ」
「うん……」
動こうとしないアリスに和也は溜め息。
「仕方ないな」
小さな体を背に乗せた。
「今回だけだからね」
一方、外では――。
「来ないな」
「ね」
和也とアリスを待つ面々。
「あ、来た!」
タラップに人影が見えて雅紀の表情がパッと輝く。
「ごめんごめん。お待たせ」
「ん……あれ……?」
目が覚めてキョロキョロする。
「起きた?なら下ろすよ」
「うん、ありがとう……」
地に降り立ったアリス。
和也は辺りをぐるりと見渡した。
「人いないね」
「お店もみんなシャッターが閉まってて人の気配が全くないんだ。気味悪いよね」
「アルセドニア港はあんなに活気があったのに」
「周りもこれ霧か?モヤモヤ視界わりー」
と、智。
「金がない?ふざけるな!!」
「!?」
どこからか聞こえてきた声に雅紀達はびっくりして目を瞬(しばたた)く。
「誰かいる?」
「あっちの方から聞こえたよ」
アリスは怒号がした方角を指さした。
「行ってみましょう。あまり穏やかな人ではなさそうだけれど」
「そうですね。誰かが怒られているのなら助けなきゃ」
雅紀は拳をぐっと握り、7人の仲間を引き連れて港の奥へ走り出した。