第1章 -異世界編-
□1章16話 それぞれの目的
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「ザーグについて知る人物に会いにきたんだよね?それならそこにいる彼女がそうだ」
「「彼女?」」
「サニアさん、ザーグについて聞かせてくれる?」
「あなた達、まさかザーグとやりあうとでも?」
「そのつもりだけど」
「やめなさい、危険だわ。あいつに会えばまず命はない」
「私もね、あいつのことだけは死んでも許せない」
「会ったことあるんすか?ザーグに」
「ええ。あいつは私の幸せとかけがえのない仲間達を一度に奪っていったの。3年前、私は討伐の仕事で海に出た。ギルドのメンバーで小型船に乗って沖合いに出た頃、奴は突然現れたの」
「サニアさん、つらい話を俺達に聞かせてくださってありがとうございます。ですが、俺やっぱり引けません!マシロを救うためにみんなと一緒にここまで来た。今さら手を引くつもりはありません」
「俺らがビビって逃げたらここまで頑張ってきた意味がなくなる。あいつが人をみさかいなく襲うならなおのこと早くマシロ救出に向かわねーと」
「殺されかねないしな……急がなきゃ」
{アリ……ス……が……行方……不明。至きゅ……支部……ほ……部……連携し……捜さ……せよ!}
「「「「「えー!?」」」」」
「どうする?みんなで捜しに行く?アリス心配だし」
「俺がアリスを捜しに行きます。みんなはこのままザーグのところに行って」
「ニノ!?」
「あなた、マシロって子よりアリスの方が大事なの?」
「どっちも大切ですよ。よくわかんないけどこの辺がもやもやしちゃって……こう、胸の辺りがザワザワ気持ち悪いって言うか」
「胸騒ぎ……なら俺も一緒に行こう」
「翔ちゃん、いいんですか?」
「もちろん。俺達仲間じゃん。こういう時こそ協力し合わないと」
「マジで気ぃつけろよ」
「その言葉、そっくりそのまま返すよ。相手はザーグだ。油断するな」
「わかってる」
「出よう」
「行ってらっしゃい」