第1章 -異世界編-

□1章15話 手がかり
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デュランとの通信を思い出していたアリスは風が吹く中、高くそびえる山のてっぺんを見上げていた。

「まだ結構あるなー……けど、パパとママがこの辺りで目撃されたのなら頑張って登らないと。いるとしたら上の山小屋だし。あそこには貴重な“薬”もあるから」

足もとでPちゃんがピコピコ鳴く。

「うっしゃ。行こう!」

・*:.。.1章15話 手がかり.。.:*・



「出口〜出口〜。出口はまだかぁ〜」

「後ちょっとで出られるよ、翔ちゃん!」

「ちょっとってどれくらい?雅紀ぃ」

「え?うーん、どれくらいだろうねι」

「こんだけ歩いてんだもん。そろそろ出口見えてきたっていいよね」

潤が言うと智が前方を指さした。

「あっち明るくなってない?」

「ほんとだ。もしかして出口?」

「Σ何!?やった〜!やっとお天道様見られる〜(走)」

「翔ちゃん待って〜」

「ンだよ、エネルギー有り余ってんじゃん」

潤達も翔と雅紀の後を追い、一行はやっと新鮮な外の空気を吸うことができた。

「眩しっ……朝?」

「ここはどこだ?」

キョロキョロと周囲を見回す潤。

「ニノ、コンパス」

「ちょっと待って」

翔に言われてジーンズのポケットから取り出す。手のひらの上でコンパスの針がくるくると回り、ピカッと光ると一筋の閃光がある方向へと伸びた。

「この光の先に行けってこと?」

「行ってみよう!」



――体に力が入らない。

痛い。

苦しい。

「助けて……まさ……き……」

「目覚めたか。見よ、これがお前の新しい姿だ」

重い体を無理に起こす。ザーグの持つ姿見に映った自分。驚愕に目を見開いて言葉を失った。

「……え……!?」
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