第1章 -異世界編-
□1章2話 それぞれの能力
1ページ/7ページ
「相葉くん!」
〈しっ、静かに。さぁ、雅紀。目を閉じて。君の中で燃ゆる新緑の炎に意識を集中するんだ〉
「うん……」
・*:.。.1章2話 それぞれの能力.。.:*・
座る雅紀に正面からフサフサの手をかざす小さな白熊の赤ちゃん。潤は黙って事の様子を見守る。
〈どう?気持ちがどんどん休まるでしょ?それが君の力だよ。人々を癒す優しき風の力〉
「風の……力……」
ゆらゆらゆらゆら。
真っ暗な中で明るい緑の炎がゴォッと燃える。
(熱い……胸の奥が。この感覚は何?座ってるのにふわふわ浮いてるような感じするしすごく心地良い)
「ん……」
ふと、雅紀は閉じていた目を開けた。
「お帰り」
「ま、松潤……た、ただいまι」
「これでわかったっしょ?俺の言いたいことが」
「うん、まだ現実味ないけどね。でも、確かに感じたよ。すげー気持ちよかった。俺の中、とろけるように熱くなって……」
「これ、RPG小説の予定だよね?そんな官能的な言い方だと読者にあらぬ誤解されない?」
「え?あ、違っ……そういう変な意味じゃなくて!!///ι」
ガチャ。
「誰かきた」
「おはようー」
「あ、翔ちゃん」
「相葉くん、おはよ。松潤も」
「はよ」
楽屋に現れた櫻井翔。持ち込んだ新聞をバサリとテーブルに置いてかけてあるハンガーに手を伸ばす。
「朝から降っててたまんねーな。今日ずっとこんなだって。気温も上がらないみたい」
「マジ?風邪引かないようにしないと」
「ねぇねぇ、翔ちゃん」
「ん〜?何〜?」
「いきなりで悪いんだけどさ、この子を持って目を見てくれない?」
「は?何で?」